リサイクルショップ

「使い物にならないのでも引き取ってもらえると聞いてきたんですけど…。」

訪ねてきたのは中年の女性だ。頭はところどころに白髪が目立ち、皺も深い。一見すると70代後半のようにもみえる。

「はい、全然大丈夫ですよ!本日は何をお持ちに?」

「これなんですけど。」

あちゃー、こりゃひどい。どんな使い方したらここまでボロになるんだ。

「いやぁ、酷いですねw」

「ふふっ、前はよく動いてたんですけどね。ちょっと無理に使っちゃったからかな、突然調子が悪くなっちゃって…。最近はいろんなとこに当たるようになって、うるさくもなって、だからもう売っちゃおって思ったんです。」

「ええ、最近だとよくあることなんです。」

そう、本当にこういう件は最近増えている。 年増の女性がガラクタを持ってくるのは珍しくなくなった。

「希望金額はどうしましょう。」

「それなんですが、これで家具を作ってもらえるんですよね?」

「リサイクルですね、かしこまりました。」



「完成したと聞いて来ました。」

「お待ちしておりました。」

私は3ヶ月かけて彼女の希望通り椅子を作った。中のクッションはガラクタを加工したビーズを敷き詰め中の骨組みも言葉通りにしっかりと組んだ。何よりも皮の加工に手を込んだ俺の自信作だ。

「なんとまあ!この手触り、懐かしいわぁ。」

彼女は長年手入れをしてきたガラクタの手触りを思い出し、感傷に浸っている。

「ああ、この匂いよ。」

「気に入っていただけましたか。」

「ええ。もううるさくないし、痛くもないわ。でも愛してたわ。」

我が子のように家具を撫でる女性の目に光はない。

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