ふっかつのじゅもん

ドラゴンクエストってゲームがあるでしょ。

今でこそセーブデータを使ってゲーム終了の直前から再開することができるけど、昔は復活の呪文って言うパスワードが必要だったんだよ。そのパスワードによって進行状態とかレベルとか変わってくるんだけどね、


酔っ払いが言うには、自分の名前を復活の呪文として入力すると、自分が死ぬ年齢と勇者のレベルが一致してるという都市伝説があるらしい。ふふっ、懐かしいな。実は俺も当時それに似た噂に便乗してね。たいていはそんなパスワードが存在するわけないからゲームを再開出来ない。

でも、俺は名前を入力したらちゃんとゲームできたんだよ。思い出すなぁ…もしかしたらあの話本当なのかも!なんてワクワクしたさ。そして、勇者りょうたのレベルは…10!当時の俺の年齢だ。あれからもう20年経とうとしてる。


ノスタルジーに浸っていると、けんじが現れた。

久しぶりだな、けんじ。何年ぶりだよ。

「よ、久しぶり。わりいな、最近顔出せなくて。ほらこれ、今日はお前の日…だもんな。」

おいおい、俺の誕生日は来月だぞ。親友の誕生日を忘れるなんて失礼なやつだな(笑)。

「20回目だもんな(笑)。」

30回目だよ(笑)。

「覚えてるか?ドラクエの都市伝説(笑)。懐かしいだろ。」

いやいや、昨日も酔っ払いとちょうどその話をしたんだよ。奇遇だな。

「まさか当たっちまうなんてな。」

…………。

「ゆうた?どうした。」

いや、りょうたが死んでくれたのが嬉しいだけさ。

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