武勇伝

いつもお昼は先輩に連れられて飯屋に行く。

「今日は蕎麦屋ですか。」

「何名様でしょうか。」

先輩は無言でピースサインを店員に送る。

俺たちは誘導されるまま奥の座敷の席に座った。

隣の席にはガタイのいい男が3人蕎麦と酒を嗜んでいる。

「ほら、お前もやれや。」

「いや、僕未成年ですから。」

「そんなもん気にすんなや〜。俺なんて15の時からこんなんやってるぞ〜。」

「先輩!さすがっす!」


気づいていないとはいえ、よく俺たちは警察を前にして犯罪自慢できるなぁ…。


「おい。未成年飲酒は犯罪だぞ。」

先輩が静かに男たちに注意する。


「あ、ごめんなさい…。」

先輩の凄みに圧倒され男たちも静かになった。


「お勘定お願いします。」

逃げるように会計を済ませ、退店していく。」


「さすがっす先輩!俺もああいうガタイのいい人たち相手でもビビらず注意できるようになりたいっす!」

「まあな、俺が若い時はああいうガタイのいい奴を何人もボコボコにしてやったよ。」

「さすがっす…先輩…。」

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