黄泉がえり

「頼む!生き返らせてくれ!」

若くしてこっちに来た奴はみんなこう言う。

「お客さん困りますよぉ。」

「頼む!一生のお願いだ。生き返らせてくれ!」

「一生のお願いって、お客さんもう一生を終えてるんですよ?蘇りは基本認められてないんですよ。何かやり残したことあるんですか?」

蘇りは正当な理由が認められれば、例外的に認められることがある。しかし、それが認められる例は極めて少ない。俺が知ってるのは西洋の…キリ…なんとかって人しか聞いたことがない。

「仕事が、納期が今日までなんだ!それが終わるまで蘇らせてよ!」

「お客さん、仕事のしすぎで死んだんですよ?地獄に来てまで仕事を考えるなんてどうかしてるよ。今は安心して社畜から解放されたと思えば良いじゃないか。」

「あんた何言ってんだ!ここは地獄なんだろ!?安心なんてしてられるか。」

こりゃあ一本取られた。確かにここは地獄だ。でも過労死するあっちよりはここの方がマシなんじゃないか?

「早くしてくれ!納期が間に合わなくなる!また上司に怒られてしまう。」

「だからお客さん!地獄には上司なんていませんって!」

「はあ?さっき上司をこっちに送ったはずだぞ。」

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