第97話 波乗り

 調子がいいことを「波に乗ってる」と言うではないですか。だいたいは、時流に乗ってブイブイ言わせてる人のことを形容するようですが、身近な人や自分のことも「波に乗ってる」と感じることがないですか?


 今の私は執筆の波に乗っています。ふふふ。大したことじゃないんですけどね。久しぶりに執筆が楽しくてしょうがない状況です。


「食堂『まどか』のふつうのご飯」という短編連作の三個目で、何ヶ月も立ち止まっていました。


 まずアイディアがなかなか出ません。出たと思って書き始めても途中で「なんか違う」とボツに。なんてことを数ヶ月繰り返して、ようやく最後まで書けたものの、「何かが根本的によくない」とスッキリしない。


 小説教室で見ていただいて、アドバイスをもとにミチミチ改稿してたのですが、全然うまくいかずお蔵入りに。


 趣味でやってることなので、誰からも「小説書け」なんて言われないんですが、書けなくて悶々としているときって、苦しいんですよねぇ。好きでやってることなのに、自分で自分にプレッシャーをかけて焦ってしまうという。


 食堂『まどか』からいったん離れて、なんか全然違う物語を自由に書いてみようかな、とも思ったんですが、うまくいかなかった三個目の短編から頭が離れられず。


 どんなに難しい問題も、ずーーーーっと何日も考えてたら、無意識さんが突然ヒョイっと回答出してくれることないですか? 何週間も悶々としてたら、急に降ってきたんですよ。これは自分も先が気になるな、という設定が。


 最初に書いたものと、キャラもストーリーもまるっきり違う設定になりましたが、食堂『まどか』の三個目、書き進めています。


 最後までプロットはあるのですが、書いてみないとキャラクター達がどんな反応をするのがわからないっていう、個人的に一番ワクワクする段階です。


 執筆ってサーフィンみたいだなとよく思います。私はサーフィンできないので、ブギーボードの感覚しか知らないんですけど、きっと似たようなもんでしょう(←超適当)。


 波を捕まえて乗ってる時が一番楽しい。いい波にどんどん乗れるときもあれば、なかなか波が捕まえられず徒労に終わるときもあります。でも、乗ったときの楽しさを覚えているので、やめられないのです。


 小説を「書くだけ」だったら、才能がなくても誰だってできる、と思って小説を書き始めた私ですが、コンスタントに書き続けるって、実はすごいことだなと今では思います。


 今、執筆の波に乗っていて非常に楽しいのですが、そういう時期に限って他が忙しかったりするんですよね。55キロのハイキングのトレーニングやら自宅のリノベやら子どものお稽古ごとの送り迎えやら、バタバタとした日々の合間にちょこちょこと書いてます。


 一時は「このまま書けなくなっちゃったら寂しいなぁ」と思っていたので、また楽しく書けるようになってうれしいです。

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