第58話 飽きることと慣れること
このエッセイ、毎週木曜日の夕方5時更新なのですが、これを書き始めている今、木曜日の夕方4時39分です。あと20分で更新できるのか……ドキドキしながら書いております〜。
カクヨムの野々ちえさまが、最近のエッセイでこんなことをおっしゃっていました。
「書籍でも映像でもステージでも、あらゆる芸術やエンターテインメントに対して年々心が動きにくくなってきてるのよ。
感心することはあっても感動することが少なくなってるというか。
むかしから広かった許容範囲はさらに広がっているのだけど、ストライクゾーンは年々狭まっているというか。」
(リンク:https://kakuyomu.jp/works/16817139554951753390/episodes/16817330657419116038)
ものすごくわかりみが深かった、というか、まーったく同じようなことを考えていたんですよ!
私の場合、特に顕著なのはテレビドラマや映画です。
私は複数のストリーミングサービスを契約していて、オーストラリアでは無料でアクセスできるものもけっこうあるので、大げさでなく、何百、何千、というコンテンツをいつでも観られる状況にあります。
な、の、に! よく夫と二人でストリーミング難民になってるんですよねぇ。子どもがいて仕事があって、お互いに趣味もあるので、映画やテレビドラマを二人で観れる時間が限られています。なので、外したくないんですよ。
特に、テレビドラマだと、費やす時間が長いので、二人とも夢中になって観れるものを、ものすごーく吟味して選びます。なんか賞とったとか、趣味の合う友人のお勧めだとか、アルゴリズムさんから「98%の確率で好きだと思うよ」と言われたやつとか。
で、一話だけ試しに観てみます。「おお、こりゃええぞ!」と一話で思ったものは、たいてい1シーズン丸ごと面白いんですよね。でも、一話目から「なんだかなぁ」ってのが、最近多いんですよねぇ。
役者さんがいい。シナリオもいい。映像もいい。むっちゃお金かけてそう。作品としては、とってもいい。なのになのに、なんかこう夢中になれないという……。
完全に甘やかされてるんですよねぇ。歴史的な名作から、お金かけまくった最新作まで、いろんな方向から「これどうぞ」「こういうのもありますよ」「私を観て♡」と誘惑してくれるので、どれを選んでも「今観てるやつよりも、面白いやつがあるんじゃねぇか」と頭の後ろのほうで思ってしまいます。
選択肢の多さが、かえって私たちをテレビドラマ難民にしているきらいがありますが、それだけじゃなく、年齢のせいもあるな〜って思います。
年齢とともに、いろんなジャンルがおもしろいなと思えるようになりました。それから、小説を書き始めてからは、セリフの良さとか、構成の優秀さとか、もっと多角的に作品の長所を見つけられるようになったなぁと思います。
でも、それと反比例して、理屈抜きに「うわぁ!」って感動できるものが減ってきたなぁと思います。
執筆も、始めた当初は恋にでも落ちたみたいに、書くのが楽しくて楽しくて、書いていられずにはいられない感じだったんですけど、今はそんな熱に浮かされた状態ではなくなってしまいました。
でも、数年経った今だからこそ、執筆のテクニックとか、楽しみ方とか、わかるようになってきたこともあるなぁと思います。
飽きることと慣れることは紙一重ですよね。何かを続けていると、最初の頃の感動が減って行ってしまう一方で、習慣化して、やらないとなんか落ち着かない気持ちになったりもします。
いろんなものと長く付き合っていると、かえって感じなくなったり見えなくなったりするものがある一方で、また別のことが見えてきたりするものかなと思います。
でも、やっぱりまた「うわぁ!」って何度でも思いたいですね〜。そういうものが、全然ないわけではないので、感動できるものに出会った時は、大切にしていきたいなと思います。
追記:野々ちえさま、エッセイを勝手に拝借してしまいました。インスピレーションをありがとうございます。
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