第52話 ラマダン

 今年のラマダンは三月二十二日〜四月二十一日だそうです。ということで、これを書いている今、ラマダンの真っ只中ということになります。ラマダン中、イスラム教徒は日の出から日没まで断食する決まりです。ラマダンの断食に参加している読者様(いるかな)、お疲れ様です!


 私の子どもたちが通う小学校でも、ラマダンに参加している児童が何人かいるらしく、昼食やおやつの時間には、ラマダン用の部屋が用意してあって、そこには食べ物を持ち込んでいけないことになっているそうです。


 お友達のみんながご飯を食べているのに、自分だけ食べれないのは精神的にキツいでしょうからね。学校側がそんな配慮をしてくれるんだ〜って感心しました。


 こっから先は、ラマダンにお詳しい方には常識だと思いますが、個人的には「へ〜」と思ったので載せておきます。お詳しい方はスルーしてください。


 ラマダン中でもイスラム教徒全員が断食するわけではなく、断食する体力のない病人や高齢者、妊婦や授乳中の女性、子どもは免除されます。ラマダンの断食に参加し始めるのは、だいたい十四歳くらいからだそうです。


 小学生で断食するのは、高学年の子どもが、慣らしとして「一週間に一日だけ」とか「半日だけ」とか、親子で話し合ってルールを決めて、ゆるめの断食に挑戦するときです。マラソンと同じで、一ヶ月フルで断食できるようになることを目標に、少しずつ練習するみたいです。


 どの宗教でも、戒律を厳しく守る人もいれば、あんまり守らない人がいますよね。コミュニティ全体でラマダンをお祝いする地域に住んでいれば、自然に自分も断食しようという気になるかと思いますが、そうでないイスラム教徒の中には、大人でも「一ヶ月の断食をフルでするのは無理だ」と部分的に参加したり、参加しない人もいます。


 そのくらい、心身に負担のかかる行事なわけです。なんてったって、ラマダンの断食中は、日中、水も飲んだらダメですからね。夏場は特に、日照時間も長いですし、相当キツいと思います。


 ラマダンの日程は、ヒジュラ暦と呼ばれる太陰暦で決まります。一ヶ月を月の周期(約29.5日)で測る暦で、一ヶ月が二十九日の月と、三十日の月があります。


 日本でいう旧暦(太陽太陰暦)と似てますが、旧暦はうるう月を入れることで、一年がだいたい365日になるように調整されます。なので、太陽暦と季節があまりズレません。


 ヒジュラ暦では、一年が約354日なので、毎年11日ほど、太陽暦と季節がズレてきます。以下、過去五年間のラマダンの日程です。


2018年 5月15日〜6月14日

2019年 5月6日〜6月7日

2020年 4月24日〜5月23日

2021年 4月13日〜5月12日

2022年 4月1日〜5月1日


 だいたい33年で、季節が一回りズレるそうです。


 赤道近くに住んでいたら、季節がズレてもあんまり関係ないんですよね。日照時間が一年を通してあまり変わらないので。


 例えば、サウジアラビアに住んでいたら、一年を通して午後七時前には日没なので、一日がんばって断食したご褒美に、豪華な晩ご飯を食べることができるんですよね〜。ラマダン中のお楽しみは、日没後に家族や親戚と集まっておいしいご飯を一緒に食べることだそうです。


 朝も、だいたい六時前後に夜が明けるので、仕事や学校の前に早起きして、ご飯を食べることができます。


 対して、例えばイギリスのロンドンだと、今年の夏至は日の出が4時43分で日の入りが21時21分です。


 ロンドンに住んでいたころ、ちょうど真夏にラマダンが来て、知り合いのイスラム教徒が「ほんっとキツい」とぼやいてました。その方の場合、同僚や友達はイスラム教徒じゃない人も多いので、ランチにおやつにディナーにと、おいしそうな食べ物を他人が目の前で口に入れている中、自分は寝る直前までガマンガマン……。朝も五時前に起きないと水も飲めないので、暑い中、喉はカラカラ。


 ラマダンの断食を創設したムハンマドさんは、サウジアラビアのメッカが出生なので、まさか将来のイスラム教徒が、日照時間の長さに悩まされるとは思っていなかったでしょうね。


 メルボルンも、ロンドンほどじゃないですが、真夏は日照時間がかなり長いです。夏のメルボルンでラマダンの断食するのは、大変だろうなぁと思います。逆に冬のラマダンは比較的楽でしょうね。


 一月もの断食期間を経た暁には、ラマダン明けをお祝いするイードがあります。イスラム教徒が多い地域では、街中でお祭りです。メルボルンは比較的小規模ですが、それでも、いろんな場所で、乗り物や屋台が出て、フェステバルがあっているみたいです。残念ながら、私は参加したことないんですけど、楽しそうです。


 ここからは私の想像なんですが、毎年ラマダンの断食をする人は、「また今年もあの時期がやってきたか……」って憂鬱な反面、親戚やお友達との絆の深まるイベントなんだろうと思うんです。


 断食を最後までやり遂げた後のイードのお祭りは、開放感と達成感でいっぱいだろうなぁと。カクヨムならKACと似てるかもですね。←無理矢理つなげてみた。


 

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