第47話 フィンディルさんの感想
カクトモさんの間で話題の「フィンディルの感想」。フィンディルさんのPixivページを見ると『「一生ものの感想を」をコンセプトに、細かく厚く深く丁寧に、言葉を尽くした感想をお送りします!』って書いてあります。
なんかもう、これだけで、書き手としてグッとくるものがあります。自分の作品に「細かく厚く深く丁寧に、言葉を尽くした感想」をもらえるなんて、例えるなら、「超イケメンがお姫様抱っこで職場まで送迎」くらいの贅沢感です。
前回のエッセイでも書きましたが、フィンディルさんが自主企画を運営されてるということで、参加しました。
「あなたの小説の方角はどちら?」
https://kakuyomu.jp/works/16817330653132947019
多種多様な作品が軒を連ねているのですが、どんな作品もしっかり読み込まれるストライクゾーンの広さが、まずすごいなーって思います。他の方の作品へのフィンディルさんの感想を読んで、「おお〜、こういうふうに読解できるのか」と勉強になることばかりです。「あくまで感想ですよ」、という控えめなアプローチで、書き手の創作の一助になるような指摘もあり、「そういうのが欲しかったんだよ!」と膝を打つ方も多そうだなと思います。
それから、企画自体が書き手の創造力を刺激している印象を受けます。普段はあまり目にしないような、自由な発想の革新的な作品を複数拝読しました。商品価値とはまた別のベクトルで創作を楽しめるのがいいなと思います。
私の短編にも感想をいただけたのですが、お時間とエネルギーをかなり使ってくださったのだろうなという丁寧さにまず感動しました。「こうしたらもっと良くなるのでは」というアドバイスも、とっても納得のいくもので、まさに一生もののプレゼントをもらったような気持ちがしました。
意外だったのが、フィンディルさんの解釈が、作者の意図とだいぶ違ったことです。フィンディルさんの読解力は人並外れて高いので、私の筆力の問題に起因するところが大きいのですが、そもそも物語ってそういうもんだよな、と思いました。
読み手それぞれが違う人生を歩み、違う価値観を持っていて、それによって、物語が意味するものが違ってくるんですよね。同じ本を同じ読者が読んでも、その時々で感じるものが違うこともよくあると思います。
夫とドラマを観てて、ドラマの中のカップルが喧嘩してるとしますよね。私が男性に対して「あーもー、女心のわからん奴だな〜」ってやきもきしてる横で、夫が女性に対して「え? なんでこの人怒ってるの? ひどくない?」とか言って唖然とすることがあります(ガチです……)。
自分の作品に読者さんからコメントをいただいて「あ、そういう解釈もあるのか!」と貴重な気づきを得られる機会はちょこちょこあるのですが、フィンディルさんほど丁寧な感想をいただくことは、滅多にありません。
私の参加作品に対するフィンディルさんの解釈が、すばらしかったんですよ〜。物語というのは、最終的に読者の頭の中で完成するわけで、いわば作者と読者の共同作業です。優れた読み手は、作品の品質も上げるんじゃないかと思いました。
「カーテンを開けなければ、朝日を見ることはできない」みたいな文を書くAIが、アメリカで数年前にバズったそうなんですが、そのAIを開発したエンジニアが、「AIは、ただ事実を述べてるだけ。この文を読んで『自分の世界の外へ目を開かなければ、外界の美しさを知ることはできない』などと比喩的に解釈する人間の想像力こそ芸術だ」みたいなことを言ってました。
小説投稿サイトにある数多の作品って、自戒を含め、読む人にとっては「駄作」もわんさかあると思うんですよね。にもかかわらず、「こんなに面白い作品が無料で読めるなんて!」と日々感動を見つけている読者さんは、読み手としての感受性が豊かなのだと思います。
「物語は、読み手の頭の中で初めて完成する」ということを、今後はさらに留意して書こうと思いました。読者によって様々な色になる物語の本質をもっと楽しむのと同時に、自分の意図がより多くの人に伝わるためにはどういう表現をすればいいのか、今後の課題です。
いやーん、なんか今回は真面目になっちゃいました。いつもかな。
追記:KAC、盛り上がってますね〜。どんどん新作が公開されていて、私はぜんぜん読めてません。マイペースに、お題一個につき1〜2作品くらい読もうかなと思っています。書き手さん、読みに行ってなくてごめんなさい。こういうお祭り、参加するほうが断然楽しいですよね(むちゃくちゃ大変そうですけど)。私は対岸の火事を眺める感じで楽しんでます。
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