第45話 最強のクリエイター
田島享央己さんという彫刻家のインタビュー記事を読みまして。いいな〜、うらやましいな〜(ついでに、カクヨムの綾束乙さんみたい〜)、とほっこりしたので、そのへんを書いてみたいと思います。
田島さん、インタビューで「もう本当、私、仕事大好きだから」と言い切られるんです。美大を出た後、彫刻では食べていかれなくて、「40歳くらいまで、まったくダメ」だったらしいんですけど、今は海外でも人気な彫刻家さん。
売れる前から、彫刻が好きで好きで「バイト行くのが嫌でした」とのこと。今は、毎日朝9時〜夕方5時まで彫刻。その後は家族と過ごすという生活だそうで、「それでもう本当、大満足ですから」と、インタビュー記事から幸せの匂いが漂ってくるようでした。
旧知の友人に、イラストレーター・絵本作家・漫画家として活躍している人がいるんですが、彼もちょっとそんな感じでした。彼がニュージーランドからオーストラリアに引っ越して来て、コールセンターの苦情係のバイトしてた時からの知り合いなんですが、当時からいつも絵を描く人でした。
パブで飲んでる時とかも、小さなメモ帳にちょこちょこ絵を書いてるんですよね。もう癖みたいな感じで。東南アジアを旅行してた時、宿の壁画を描く代わりに宿代をタダにしてもらったり、ニュージーランドで、子どもを対象にモンスターキャラの似顔絵を描いてあげるイベントしたり、絵が上手なだけじゃなくて発想力と行動力もある人でした。
彼のことは出会った時から、頭と性格がむちゃくちゃいい人だな! と思っていましたが、「才能がある」というふうに感じたことがありません。呼吸する勢いで絵を描いている人だったので「それだけ描いてたら上手くもなろうよ」と思いました。
この二人に共通するなと思うのは、創作が好きでしょうがないので、他人の評価がどうでも、お金になろうとなるまいと、毎日何時間もずっと創作しているところです。でも、根底に「人を喜ばせたい」という気持ちがあるので、「人に見せる」のも創作の楽しみの一部になっているところ。
「創作で食べていく」という点において、二人とも成功すべきして成功した感じがありますが、もししなかったとしても、他の仕事をしながら、ずーっと創作してただろうなと思います。
そういうものに わたしはなりたい(宮澤賢治ふう)……と思います。いや、なりたいからなれるもんでもないですけどね(笑)。
もう一人。ブログがバズって作家になったアメリカ人の女性(すみません。誰か忘れました)。
インタビューで、「どうしてブログを始めたのですか?」と質問されて「I wanted to be seen」と答えられたんですよ。直訳すると「見られたかった」。「注目されたかった」と訳せるかもしれないんですが、「目立ちたい」というより、「誰かに私の存在を知ってほしい」というような、控えめな願望ですかね。
DVのサバイバーで、実体験を元にしたブログや書籍で、多くの人を勇気付けている人だったので、「同じ境遇にいる人を救いたい」とか「世間のDVへの関心を高めたい」とか、もっとカッコいいことがいくらでも言えたと思うんです。
でも、そうじゃなくて「見られたかった」。多くのクリエイターが、同じ気持ちを持ったことがあるんじゃないかと思うんですけど、それをこれほど正直で簡潔に伝える人はあまりいないんじゃないかと思いました。彼女のこういうところが、ブログがバズった理由なんだろうな〜ってインタビューした人が言ってました。
自分の執筆の話をしますとね、私はPVや星の数をあまり気にしないようにしています。「全然気になりません」と言うと強がりになりますが、なるべく気にしないようにしています。
PVが連日0だった時、1になったときは「やった!」と思いました。最初のコメントはちょっとウルってくるくらい感動しましたし、初めてレビューをいただいたときは、うっかりひねり宙返りが成功しそうなほどうれしかったです。
でね、そのくらい初期のときに思ったんですよ。「これ、慣れたくないな〜」って。読者の方から反応が返ってくるのって、本当にうれしいです。でも、私のことだから、そのうち「もっと欲しい。足りない」って思うようになりそうだな、と思いました。でね、実際にやっぱりそうなりました。
このエッセイも、コメントを一ついただけるだけでも本当にありがたいのに、コメントの数が比較的少ない回は「おもしろくなかったかな」と心配になったりします。
エッセイは気楽にいつも楽しく書いていますが、小説は書いていて苦しいときがたくさんあります。でも、やはり書けるとすごーく楽しいです。それを読んでいただけて、コメントなどの反響をいただけると、さらにうれしいです。
それなのに、星の数やPVを気にして「足りないな」とか思って台無しにしたくないんですよね〜。コメントが一つもらえたら「それでもう本当、大満足ですから」な気持ちでありたい。
念のために補足ですが、「みんなも気にすんな」と啓蒙したいわけでは決してありません。小説を書いてネットに公開する理由や動機は千差万別なので、PVや星の数が非常に大事なことも多々あると理解しております。
私の理想は、好きで好きで毎日やってたら、むちゃくちゃ上手くなったので、プロになっちゃいました♪ 的なサクセスストーリーですね〜。プロになったら、ずーっと創作を続けていかないといけません。それが「天国」だと感じるクリエイターもいれば、「地獄」だと思う時がある人も多いわけです。
そういう意味で、売れても売れなくても幸せそうな田島さん、最強だな〜、いいな〜って思ったのでした。
追記:フィンデルさんの「あなたの小説の方角はどちら?」と公式「沼らせ男/沼らせ女」の企画に同時参加した小説を公開しています。もう読んでくださった方、ありがとうございました♡ まだの方、よかったらのぞいてみてください。コメントと星ください(笑)
苦味
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