第36話 オーストラリアの教育事情 その2

 前回、「オーストラリアのビクトリア州では、小学生に宿題がない」って言い切っちゃったんですけど、ごめんなさい、学校によるみたいです。自分が聞く限り、小学校は宿題を出さないところが主流な気がしますが、中・高では宿題があります。


 それから、「日本の小学校にはあるのにオーストラリアの小学校にはなくて、あればいいのにと思うもの」を給食、掃除、プール、とあげましたが、一つ忘れていました。


 それは、音楽の授業! 必須科目じゃないので、学校によっては、授業がないんです。音楽の授業が小学校教育で必須じゃないなんて、私にはアンビリーバブルでした。小学校で私が一番好きだった科目です。音楽、とっても大切な科目だと思うんですけどね〜。


 さて、リクエストにお応えして、オーストラリアの高等教育のお話をします。私が留学していたころと、今ではだいぶ事情が違うので、ネットで軽く調べました。なので、100%信用しないでください(笑)。


 今回調べていて初めて知ったのですが、オーストラリアには国立大学が一つしかないんですよ。その名も、オーストラリア国立大学。首都のキャンベラにあります。それ以外はほとんどの大学が州立で、私立の大学は数校しかありません。


 職業専門学校やカレッジなどは、私立の学校もたくさんあります。また、オーストラリアでは、TAFEと呼ばれる、それぞれの州政府が管理する専門学校がありますが、今の時点で全国に約60校あるようです。


 昔は、学士号を取るには大学に行くしかなかったのですが、最近では学士号が取れるTAFEコースもできたみたいで、学びたい科目によっては、TAFEのほうが大学より優れている点が複数あります。


 大きな違いとしては、大学はセオリー中心なのに比べ、TAFEは仕事ですぐに使えるような、実用的な学習をするところですかね。教員や医者や弁護士になるなら、大学へ行かないといけませんが、会計士や看護師やプログラマーになりたい人は、TAFEのほうが手っ取り早いかもしれません。


 大学は三年〜四年通わないと卒業できませんが、TAFEは数ヶ月からコースが取れ、比較的短期間のコースを修了する度に、サティフィケートやディプロマが取れるところも利点です。


 ちなみに、オーストラリアの大学では、ほとんどの学部で三年で学士号が取れます。なので、三年で卒業する人が多いです。四年間通うとHonors Degree(優等学位)が取れます。医学部などは四年制が主流です。


 さてさて、気になるお値段です。


 大学の費用は年間二万〜五万豪ドル(約180万円〜 500万円)ですが、オーストラリアとニュージーランドの国籍保有者やオーストラリアの永住権保有者には、政府から補助金が出るので、自己負担分は年間0〜約一万豪ドル(約90万円)です。


 昔は無料だったらしいんですけど、今ではほとんどの人が部分的に負担をするようになりました。政府の補助に加えて、各種の奨学金や教育ローンがあります。オーストラリアの高等教育の費用は、親が負担するのではなくて、子ども自身が教育ローンを組んで支払い、働き出したらローン返済するパターンが多いように思います。


 日本だと「子どもの高等教育の費用は親が貯金しておくもの」という感覚が強い気がするのに比べ、オーストラリアでは、「高校を卒業したら自己責任(というか、教育費は政府が出すべきだろ?)」という感覚が強いような。TAFEや大学へ無料で行けた時代の名残かもしれません。オーストラリアの一般家庭で「子どもの大学の費用を貯めとかなくちゃ」という感覚はないです(自分調べ)。


 TAFEやカレッジの費用は、学校や科目によって大きく異なります。大学と変わらないくらい高いコースもあれば、数万円から受けられるコースもあります。日本人が留学する場合は、TAFEがやっている短期間の英語コースが人気です。州政府が管理しているので、ある程度の教育水準は保障されていて、費用も不当に高いことがないからです。


 オーストラリアに語学留学される場合は、生活費や渡航費など込みで、年間250万円くらいかかるらしいです。うぎゃー。オーストラリアの物価が高く、円安だからですねぇ。私が学生だった頃と比べると、豪ドルが1.5倍以上に跳ね上がってます。


 若い人がオーストラリアに留学される場合、費用的に一番やりやすいのは、ワーキングホリデーかなぁと思います。ワーキングホリデー、ご存じの方も多いと思いますが、若者限定のビザの種類で、一年間オーストラリアに滞在でき、そのうち六ヶ月間は就労できる許可をもらえます。


 ワーキングホリデー、略してワーホリの若者たちの労働力はバカにならなくて、飲食店や農場や美容院など、あらゆる産業がワーホリの若者がいないと回っていけないくらい戦力になってます。パンデミックの影響でワーホリ人口が激減し、人手不足が深刻な問題になりました。そこで政府が、「ワーホリの就労期間は六ヶ月間だけ」という規制を、今年一年限定で緩めたほどです。今、ワーホリに出たら、仕事には困らなさそうです。


「日本の若者が、オーストラリアにワーホリで出稼ぎに来ている」ってウワサを最近耳にしました。円安ですし、オーストラリアの最低賃金が高いので、ものすごく節約するか、美容師さんなど手に職がある人なら、貯金できるかもしれません。


 そういえば、クリスマスパーティーでたまたま出会った女性が、二十五年ほど前に某駅前留学の先生をやっていらっしゃいました。「オーストラリアに比べるとお給料が良くて、たくさん稼げたけど、そのぶん物価が高くて苦労した」とおっしゃってて、「そうだった。昔はオーストラリア人が日本に出稼ぎに行ってたんだった」と時代の流れを感じました。


 オーストラリアの教育事情、高等教育編でした☆

 

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