マニフェスト

 まずは、独裁党の選挙演説です。

「えー、私、竹之丸竹吉は、今回の選挙で、この国、変えたい、と、そう、思うので、あります。今のこの国の政治は、端的に言うと、閉塞的な社会の環境を是正するためにさらなる検討が必要な議案について十分な検討がなされているとは言い難く根本的な解決において恣意的な判断や極めて不可解な理由による判断がなされていることが多いために対処療法的な解決策しか示すことができず国民の意思に寄り添った政治ができているとは言い難い状況にあると言わざるを得ない状況にあることは明白でありそのために個々の価値観に照らし合わせた対話による政治というものがなされない以上新しい風を吹き込むことによって政治に新たな展開をもたらすことが必要だと言わざるを得ない状況にありそれは逆説的には現段階で行われている政治が腐敗に満ちたものだと言わざるを得ないということが言えるということになるためにしかし一方でそうした政治のメリットデメリットを十分に検討する必要があるということを検討する必要があるという感じがあると言えることは言わずもがなと言った状態にあるとは言い難くむしろ言い難いために言いやすいという状況も状況論的には言えるという状況にあるために状況証拠による議論は言えないということが言えるわけであって言いたいことも言えないこんな世の中じゃ言いたいことも言えないよということが言えるために癒えることない痛みならいっそ引き連れてということが言えて言えないことを言うことが言いたいわけであって、言えないことを言うほどに言えば言うほど言えないことがどんどん言えない……」

 続いては、地獄党の選挙演説です。

「えー、地獄党代表の、梅干彦魔魔麿です。戦後、この国はどうですか。どうなんでしょうな。どう思いますか、みなさん。この国は、本当に、あれです。これはもうあれとしか言いようがないような、そういうことです。私はそんな政治を色々と変えたり変えなかったり。税金はどうでしょう。高いという意見もあれば、これでいいという意見も当然あるわけです。どうでしょう。本当に、どうなんでしょうな。この国の政治はすごい、という意見の一方で、だめだという意見も。どうなのか、本当に。私たち地獄党は、色々します。これだけは約束します。私たちは、色々やる。どうぞ、清きなのかどうかは個人の考えによる感じの、まあそんな一票をできれば入れてもいいし、入れなくてもいいし」

 続いて、鼻詰まり党の選挙演説です。

「どうも。鼻詰まり党の百道川林草森木です。この国は、鼻が詰まっている。私たちは、鼻毛を抜き、時には切りそろえ、時には鼻うがいをし、時にはレントゲンを撮ります。鼻を掻けば、鼻を掻くし、鼻から息を吸えば、息を吸います。私たちは、この国の鼻詰まりを治します。鼻毛の艶をよくし、鼻毛のキューティクルを守ります。鼻がむずむずするなら、きちんと寄り添います。我々は、あなたの鼻の味方です」

 続いて、眠民党の選挙演説です。

「ZZZ……」


 終わり。


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