スーパーマーケットの恋人たち

 僕は頻繁にお見合いをする。色とりどりの彼らと向き合って、どの子と過ごしたいか、考える。

「僕は君が好きだ」

 声に出してみる。棚に並ぶ彼らに向かって。

「賞味期限が切れるまで、僕は君を愛し続けるよ」

 もちろん、誰も彼も愛せるわけはなく、結局、僕らは互いにわかり合う暇もないまま、その日を迎えるのだ。

 レジで結婚式を終えて、僕らは外の世界へ飛び出した。

 結婚指輪代わりに、その体にシールを貼って。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る