第24話 王宮主催のパーティーに参加します
ハリー様と気持ちが通じ合ってからというもの、これでもかというくらい、ハリー様がずっと側にいてくれている。さらにハリー様がそばに居ない時は、なぜか王妃様が私の側にいてくれるのだ。
“あなたが本当の娘になってくれて嬉しいわ”
そう言って、嬉しそうに私を抱きしめてくれた王妃様。私も義理とは言え、王妃様の娘になれる事が嬉しくてたまらない。
次期公爵夫人になるため、改めてマナーやダンスなどのレッスンも行っている。そのため毎日忙しいが、充実した日々を送っている。
ちなみに私を誘拐しようとした者が現れて以降、王宮の警備が今まで以上に厳しくなった。魔術師長のラクレス様自ら、毎日王宮内を見回り、異常がないか確認している徹底ぶり。
私も必ず護衛騎士とメイドを引き連れて移動している。ちなみに部屋にも、メイドと護衛騎士が控えているので、ちょっと落ち着かない。そう、24時間、誰かがそばに居るのだ。
さすがにそこまでしなくても!そうハリー様に伝えたのだが
“君はもう誘拐されかけた事を忘れたのかい?それに、また迎えに来ると言われたのだろう?とにかく、しばらくは不自由かもしれないが、君を守るためだ。我慢して欲しい”
そう言われた。そもそも私は、どんな相手が来ても倒せる自信があるのだが…でも、こうやって心配してもらえるのは嬉しい。ここは素直に甘えておくことにした。
そんな日々を送っているうちに、月日は流れ、今日はいよいよ王宮主催のパーティーが行われる日。ちなみにこのパーティーで、正式にハリー様の婚約者として紹介される予定だ。
「カトリーナ様、そろそろパーティーの準備を行いましょう」
専属メイドのルルが声を掛けてきてくれた。メイドたちが丁寧に体と髪を洗ってくれ、保湿クリームを塗ってくれる。本来は魔法で簡単に洗えるのだが、ここはどうやら手作業の様だ。
髪を乾かしてもらい、鏡の前に座る。そして、化粧をしてもらった。
「さあ、次はドレスですよ。それにしても、とても素敵なドレスですね」
このドレスは王妃様と一緒に選んだドレスだ。なぜか王妃様が緑色のドレスが私に似合うとおっしゃってくれたので、緑のドレスを選んだ。そう、ハリー様の瞳の色だ。きっと王妃様は、その事をわかっていて、私に勧めてくれたのだろう。
さらに、ドレスには細かな刺繍が入れられており、宝石も散りばめられている。まさに最高級品だ。早速ドレスを着せてもらい、アクセサリーを付けてもらう。アクセサリーも王妃様と一緒に選んだものだ。
王妃様と一緒にドレスや宝石を選んでいると、なんだかお母様と一緒に選んでいるみたいな気がして、とても幸せだった。
“次はウエディングドレスのデザインを考えないとね。今から楽しみだわ”
そう言って嬉しそうに笑った顔が、やっぱりお母様と重なって、温かい気持ちになった。お母様には何もしてあげられなかったけれど、これからは王妃様を大切にしよう。本当のお母様と思って…今はそう思っている。
「カトリーナ、準備は出来たかい?」
ちょうど着替えが終わった頃、ハリー様が迎えに来てくれた。美しい銀色の髪をがっちり固め、青色のスーツに身を包んだハリー様。なんて素敵なのかしら…
「今日のカトリーナは本当に美しいね。見とれてしまった。さあ、早速会場に行こう。もう貴族たちも集まってきているはずだよ」
「はい」
ハリー様にエスコートされ、会場でもある大ホールの控室にやって来た。控室には、既に陛下や王妃様、王太子殿下も来ていた。
「まあ、やっぱりそのドレス、カトリーナちゃんによく似合っているわ!とっても素敵よ」
「ありがとうございます。王妃様が選んでくれたお陰ですわ」
「もう、カトリーナちゃんったら。私たちはもうすぐ親子になるのよ。お義母様と呼んで頂戴」
「それじゃあ、私はお義父様だな」
「僕はお義兄様か。こんな可愛い義妹が出来るなんて、嬉しいよ」
「兄上、あまりカトリーナに近づかないでください。さあ、そろそろ行きましょう。皆さん待っていますよ」
お義兄様が私に触れようとした瞬間、すかさず阻止したハリー様。皆苦笑いしている。
気を取り直して、いよいよ入場だ。執事のアナウンスで、お義父様とお義母様、お義兄様、ハリー様と私の順で入場していく。入場する寸前
「僕だけ1人か…クソ、僕も早くいい人を見つけないと…」
そうお義兄様が呟いていたのを、聞き逃さなかった。きっとお義兄様なら、素敵なお嫁さんが見つかるだろう。私はそう確信している。
ふとホールを見ると、たくさんの貴族がこちらを見ていた。そして、お義父様が挨拶をする。
「今日は皆に報告がある。息子のハリーが、正式に婚約を結ぶことになった。相手はマレッティア王国の第7王女、カトリーナだ。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かい目で見守ってやってほしい」
お義父様の言葉と同時に、ハリー様と一緒に一歩前に出て、頭を下げた。その瞬間、溢れんばかりの拍手が。よかったわ、皆に受け入れてもらえたのね。
ホッとした瞬間、何を思ったのかハリー様が私の腰を掴み、そのまま頬に口づけをしたのだ。ちょっと、人前でなんて事をしてくれるのよ!
びっくりしてハリー様の方を見ると、今度は唇に口づけをしたのだ。完全にフリーズする私をよそに、嬉しそうに微笑むハリー様。
さらに周りからは歓声が上がる。
このパーティー以降、私がハリー様に溺愛されていると言う話しが、一気に貴族の間に広まったことは、言うまでもない。
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