俺らの恋愛事情は変わってる
赤猫
七瀬編
うざやかましい後輩
俺にはうざやかましい後輩がいる。
朝の通学路で突進するところから始まり放課後には教室に突撃してくる。
クラスの連中には「可愛い後輩が来てるぞ」とニヤニヤした顔で言われる。
それが俺、
「せんぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」
「ゴホッ!」
ドンっと思いっきり俺にこいつは突進してくる。
倒れそうになるが何とか耐える。
「おはようございます!!」
「うるさい朝から耳元で叫ぶな」
「相変わらず冷たいですね」
馬鹿みたいに明るい笑顔で笑っている彼女は
帰宅部の俺とは違いしっかり部活に参加していている。
「先輩今日もお昼はぼっちですか?」
「うるさいぼっちで何が悪い」
勘違いしないで欲しいのだが、俺にも一応友人と言える奴はいる。
一人で食べるのが好きなだけであって。
「先輩って友達いるんですか?」
「いる」
「へぇーいたんですね」
失礼な後輩で腹が立つ。
でも俺はこいつより大人だからこんな事で怒ったりしない。
「先輩彼女は?」
「いるわけないだろ」
キレそう、キレそうなんだけど。
「お前はもう少し先輩を敬う事を覚えろよ…」
「敬ってるじゃないですか」
「どこが?」
「先輩って呼んでる」
もう俺無理かもしれない。
頭を抱える俺の隣で朝日向は鞄をごそごそと漁っている。
「先輩今日はですね…はい!」
白色のシンプルな風呂敷に包まれた何かを出してきた。
「何だこれ爆弾か?」
俺がそう言うと彼女は口を尖らせる。
お前の日ごろの行いのせいでやばい物が入っているとしか考えられないんだよ。
「違いますー!先輩が購買のパンばっかり食べて栄養偏ってるの心配だからお弁当作ったんですぅー」
「弁当…?」
「なんかすごく失礼な事考えてません?」
料理するんだ。と俺は驚いた。
爆弾おにぎり作ってそれ食ってそうというイメージしかない。
「先輩?」
「ん?ありがとう大事に食わせてもらうよ」
朝日向の頭に手を乗せて撫でる。
こういうところは可愛い後輩だなって思うんだがなぁ…。
朝日向は顔を赤くしている。
風邪か?
「朝日向大丈夫か?体調悪いなら」
「大丈夫です!先輩早く行きましょう!」
俺の手を取ってぐいぐいと彼女は引っ張る。
朝から騒がしい奴だな。
朝日向のせいで、少しだけ早く学校に着いてしまったじゃないかと思いながら入ると二人の男どもが近づいて来る。
「七瀬は朝から良いですなー。可愛い女の子と登校できて」
「は?ぶっ飛ばす」
「朝から怖いよ」
俺をからかうピアス穴がハッキリと開いている茶髪のチャラ男こと
「お前本当に付き合ってないん?」
「ただの委員会一緒なだけでなんも接点無いんだぞ」
何でこんなになつかれているのか理解できない。
委員会でしか会わないのに。
「朝日向ちゃんかぁー。可愛いな」
「信。それ彼女いたらやばいんじゃね?」
信は彼女持ちだリア充だ末永く爆発しろ。
「良いってあいつそんなんで怒んないから」
「あ、みっちゃん」
雄がそう言うとガタリと信は椅子から落ちる。
「み、
「嘘だよ?」
雄の彼女さん
「花園さんと何で付き合ってるか俺は去年からずっと疑問に持ってるよ」
「はるくん。信はね「だぁぁぁぁぁぁ!言うな!言うな馬鹿!」
誤魔化すの下手かよこいつ。
「みっちゃんの事大好きだもんね」
「何だよこいつ純愛かよこの見た目で」
「見た目は関係ないだろ、雄はどうなってるんだよ」
話を逸らしやがった。
朝から女子が好きそうな恋バナしてる野郎どもってそれも一人彼女いるし。
「えー俺?今ね絶賛口説いてる」
「誰よ?」
「一つ下の真面目ちゃん」
雄は恍惚とした顔で言う。
出たよやばい方の雄。
「反応初心だから楽しんでたんだけど、本気で自分のにしたくなっちゃった」
「その子に逃げて欲しい」
「はるくんひどいなぁー」
こいつ全然無害ですよーって顔して超絶肉食な男である。
何で俺の友人ってこんなにもやばい奴ばっかなんだろ。
「はるくんも好きな子できたら分かるよきっと独り占めしたいって気持ちが」
「…そーかよ」
分かる必要何て無いだろう。
女子と接点ないからある訳がない。
俺らの恋愛事情は変わってる 赤猫 @akaneko3779
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