第48話 たぶん、好みです!(おまけあり)

「――ってなことやってるみたいですよ、斎藤兄妹は。!!」

言わないで欲しいデス! どうする気デスカ、負け癖ついたら」


「いや…負け癖ついてるし…(ボソッ)」

「それより! ジェシカ、なんデスカ! 民間人のジュンイチさんを盗聴とか! ハシタナイです! 国際問題デス!」

「そうは仰りますがお嬢様だって耳特大で聞いてますし…」


「き、聞こえてくるのは仕方ないデス! デモ、盗聴はよくないデス!」


「わかりました。確かにお嬢様の言う通りな気もします」

「あ…っ」


「なにが『あ…っ』ですか、残念がってるじゃないですか」

「別に…残念とかないデス…しょんぼり……ん? ジェシカ、今度は何してますカ?」


「何って、お嬢様が盗聴ダメだって…」

「だからって、はもっとダメでしょ!」

「えっ!? 難しい子ですね、お嬢様は。だから『』の負けヒロインなんです。あっ…」


「ど、どうしました、ジェシカ!」

「あっ、いえ…その。順一さま、これからご入浴みたいで」

「ご入浴……って、まさかお風呂デスカ!?」

「ええ。お嬢様も見ますか?」

「み、見るわけないデス! 覗きデスヨ!」

「順一さま。意外に筋肉質ですよ、お嬢様! 細マッチョですね」

「ほ、細マッチョですか!」

「なんですか? やっぱり見るじゃないですか。お嬢様も好きですね」


「ダッテ! ジュンイチさんは私の…ナイトさまですし…お体の状態はワタシがしっかり―」

「お嬢様。失礼ですが『』し過ぎです。一応『一国のお姫さま』ですからね? あと、ナイトさまってまだ言ってんだ…振られたクセして。だから負けヒロインは…」


「負け負けうるさいデス! ジ、ジェシカいくらなんでもこれ以上は…ピ―では!?」

「これ以上とか言ってモニタ―に引っ付かないでください。イイとこなんですから。あとモニタ―に指紋付けないでくださいよ! あと『ピ―』って音入れても見えますよね?」


「あれ? ジェシカ…肝心なトコで…」

「お嬢様…肝心なトコってなんですか。本格的な覗きじゃないですか」

「でも…なんで急にモニタ―『アヒルちゃん』になったのですか? ジュンイチさんの細マッチョ…」

「お嬢様…細マッチョ、細マッチョって…振られてこじらせちゃいましたね。さすが我が国1番の『負けヒロイン』まぁ、そんなお嬢様のことなんてどうでもいいんです」


「ジェシカ、ちょいちょい口が過ぎますね…で、なんで『アヒルちゃん』なんですカ?」

「お嬢様…やたらとモニタ―にこだわりますね…まぁ、これ以上ツッコんで地雷踏むのも嫌なので。あの…先程から覗き覗きと仰りますがこれは覗きではありません。防犯カメラの動作確認です 設置はご家族皆さんご存知です」


「防犯カメラ?」

「はい。大丈夫だとは思いますが、斎藤さんのご家族に何かあれば、人を出せますから」

「わぉ…ジェシカ。優しいです!」

「お嬢様。否定しづらい自虐はやめてください、!」

「しかし、なんでアヒルちゃんですか? せません」

「あの…って言いませんでしたか。警備目的です」

「ホントにコッソリじゃないんデスか!?」

「あの…お嬢様。萌ないみたいにしか聞こえません。もう『一国の姫』の発言じゃないですね。この防犯カメラはAI内蔵型です。ある程度、自由に『浮遊』するタイプですね。設定した敷地内を自由に移動します。もちろん異音などあれば確認に向かいます。AI搭載ですのでセキュリティだけではなく、プライバシ―にも自動的に配慮します。なのでいくら粘っても順一さまのすっぽんぽんは見れませんよ?」


「えっ…ウソ…」

「いや…そんな露骨に落胆されたらイジメてるみたいじゃないですか、! そういうのはですね、ジュンイチさまに直接お願いしてください」

「直接お願いしたらいいの?」

「あっ、ダメです。え……っと、そう! 追々…ほら、あれです! 私の方から……なので! 直接はダメです! き、嫌われたくないですよね! 順一さまに!」

「うん、わかった。ジェシカの言う通りする」

「さすがお嬢様! に、日本の殿方は……そう! 今のお嬢様みたいに奥ゆかしい方が好みです!(たぶん!)」

 とりあえずジェシカは、順一に直接交渉しかねない、あるじシルヴェ―ヌをなだめることに成功した。



 ◇◆◇◆


【おまけ】斎藤兄妹対決①

 ある日のこと……

「いや、!」

「ふふふっ、お兄ぃ怖いのね? そんなに私に勝つ自信がないのね?」


「わぉ…どうされました、兄妹ケンカですか?」

「シルちゃん、勝負よ。でも臆病者のお兄ぃは勝負から逃げるの!」


「それはダメです! ジュンイチさん!! 武士として挑まれた勝負は受けないと、デス!!」


「いや、シルさん! オレ武士じゃないし、…受けていい勝負とのあるから!」


「そうじゃないの……舞美ちゃん、どんな勝負デス? 剣による果たし合いですか? 真剣はダメですよ?」


「安心してシルちゃん、誰もケガしないから!」

「ならジュンイチさん、勝負を受けるべきデス! 因みに何の勝負ですか?」


「よくぞ聞いてくれました、シルちゃん。斎藤兄妹の勝負と言えば――『』よ!」


「わぉ…日本の兄妹ちょっと斬新デスね…ラ―スロでは考えられません…」

「シルさん! 斬新で片付けないでください!! 日本でも考えられないから!!」


 勝負の行方はどうなったか……誰も知らない。


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