第26話 対人戦闘支援AI。

! 私立常和台ときわだいをぶっ潰す!!』



 そんな超威勢いい発言をしておきながら、まさかの『ノ―プラン』とは中々言えない。しかし、そこは我が家の頼れる『分析担当』の母さんが空気をよみ『』とばかりに三崎さんから親御さんの連絡先を聞き出し、母親同士の連携を強めた。




 母として、女性としてと激しく息まく。

「娘さんは!!」

」発言。母親同士のハ―トに火を着かない訳がない!!



 母さんの激に賛同した三崎さんのご両親が秒速で現れ、オレに娘を頼むとばかりに熱い握手を交わし、当面の着替えを詰めたボストンバックを置いて去った。まさに春の嵐だ。




 そしてもうひとつの『春の嵐』が……

「兄さん。。長期戦は苦手『あの娘』の方が向いてる」

 妖艶な笑顔と共に去った。自分を『』したのか……戻ったマイちゃん自身『あれ?』とマイたんの呆気ない退場に驚きの声を上げた。




 しかし、もうひとりの『自分』の意図を汲んだ舞美は『メディア対応』としてプロに声を掛けた。言わずと知れた浅倉さん率いるクル―だ。こちらもスタンバってたとばかりに秒でやって来た。




 三崎さんが追い込まれた現状を説明し『舞美、三崎、浅倉、ジェシカ』による急造ながら強力な『タスクフォ―ス』を組んだ。目的は雑に加工された映像の徹底解析と三崎さんに仕掛けられた『要求』の暴露だ。三崎さんはオレの潔白を証明するため、あの日のバス停の動画を学校に提出。




 しかし、その動画は事務長によりチ―プな加工を加えられ、オレが暴れたような映像に仕立てばらまいた。チ―プさ故にネット民の手で簡単に論破されたものの、三崎さんは動画の元本を提供した協力者として事務長に脅されることに。




 三崎さんは『援交』みたいな、と表現したが、犯罪行為なのだ。妥協などない!




 三崎さんの日頃の『スト―カ―』気質というか、用心深さというか、そういう部分が功を奏し『』がボイスレコ―ダ―に録音されていた。これをどう演出するか『タスクフォ―ス』に委ねた。




 三崎さんの行動で初めてオレたちはリ―ド得た。この手札を何時、どのタイミングで切るか、すべての判断はオレの手の中にある。母さんは炊き出し級の大鍋でカレ―を作り始め、我が家のお財布担当の父さんは、浅倉さんのクル―と共にお買い物に出かけた。




 手空きなのはオレとシルさんだけになった。いい機会なので、オレは今回のことでラ―スロ公国内で、最も注目を受けているオレの『騎士位ナイト』就任の件を聞くことにした。実のところ、シルさん襲撃と同等の注目度に疑問があった。それに武術や護身術などまったく経験のないオレに務まるのか……




「ダイジョウブです、ジュンイチさん。ミカエル兄さまの奥方様は『騎士位ナイト』ご出身デス。お義姉さまは国を代表する『』使いデス。とてもお強く、美シイです。ですが、一番上の姉さまのお相手で同じく『騎士位ナイト』の方は学者さまデス! 腕相撲でお姉さまに勝ったことないデス! つまり『騎士位ナイト』職は任命者が望む、お相手であることが最大の条件デス! 守り方は様々デス!」




「様々な守り方……ですか」

「そうデス! 私はジュンイチさんにお願いしたいデス。しかし、ジュンイチさんのご心配も、ごもっともデス。しかし、ご安心クダサイ! ミカエル兄さまが『剣の精霊ソード・フェアリ―』をジュンイチさんに供与するとを閣議決定しました!」




剣の精霊ソード・フェアリ―……って?」




です。デジタル・ウェポンに搭載出来マス。基本的にデジタル・レイピアですが、他の武器適性があればカスタマイズ出来ます。20人の護衛官に匹敵すると言われてマス。因みにジェシカも『剣の精霊ソード・フェアリ―』所持者です! 第一世代です。ジュンイチさんに供与する『剣の精霊ソード・フェアリ―』は第三世代デス! !」




 ノリノリで説明してくれるものの、話の半分も理解できない。ただその『剣の精霊ソード・フェアリ―』なるモノが、護衛官20人に匹敵する代物だということで、何となく凄さはわかるものの、体術を身につけてないオレでは宝の持ち腐れにならないものか?




 そんな呑気な感想を抱いていたオレとは、真逆の反応を示したのがジェシカさんだった『タスクフォ―ス』として方向性を議論していたジェシカさんだが、中座してまでシルさんに詰め寄った。気のせいか顔色が優れない。




「お嬢様…今のお話は本当ですか?」

「おぉ……マズいデスね…ミカエル兄さまに口止めされてました。仕方ないデスね。――そうです、ジュンイチさんに『剣の精霊ソード・フェアリ―』が供与されマス。『騎士位ナイト』に正式就任すれば、デスが」




「お嬢様、お気づきでしょう。私は順一さまに『剣の精霊ソード・フェアリ―』システム供与することは。むしろお嬢様の警護にあたるなら、必要な措置。私が申し上げておりますのはありません『第二世代後期モデル』以降、つまり対人戦闘支援AIは不合格ロットアウトされたはず!」




「確かに『第二世代後期モデル』以降は不合格ロットアウトされマシタ。しかし『第三世代』は全く違う概念に基づき――」

「お嬢様!! 詭弁きべんです!! 皆が危惧してるのは『戦闘支援AI』です! ノーマルタイプの戦闘支援AIで十分なはず! お忘れですか!?『第二世代後期モデル』の暴走を……」




 ジェシカさんが気にしてるのは『自律式』かどうかのようだ。恐らく『自律式』は従来のノーマルタイプのものとまったく違うのだろう…何より『第二世代後期の暴走』を問題視しているのだ。

(対人戦闘支援AIの暴走って……)













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