第45話 05月04日【5】
「映画館といえば、ポップコーンとコーラが定番なのよね?」
チケット売り場前で集合した途端、
どうやら
ポップコーンの話も、その時に教えてもらったのだろう。
私は「まあ、そーね」当たり障りの無い言葉を返した。
「なら買いましょう。もちろん
半ば脅迫とも思える
4人分の飲み物とポップコーンを2つ購入し、私達は揃って劇場へと向かう。
ちなみに私以外は紅茶にカル○スと、誰もコーラを注文していない。定番ではなかったのか
などと文句も喉の奥に押し殺して、私達はフードコートで決めた席に着き、映画の開始を今かと待つ。
途中、右隣に座る
心
小躍りする心臓の音と共に、
※※※
上映開始から約30分。
控えめに言って……ややこしい。
私達が今観ている映画は【イロハネ】というSFファンタジー(?)だ。どうやら
特殊なアンドロイドが蔓延する近未来が舞台で、主人公はアンドロイドの治療専門学校へ通う15歳の少年。
メイド型のアンドロイドやら動物を模したアンドロイドが出てきてロボットに特殊な治療を施すだけのSFチックな内容かと思えば、ファンタジー要素が節々に盛り込まれて…。
恋愛要素もあるが純愛的な感じだし、生物学やら科学やらが織り交ぜられて、流行りに乗れていない感が強い。
私が好きな映画の監督がメガホンを取っているというので、多少は期待していたのだが、これは実写で観るものではないだろう。
にも関わらず、右隣の
――ポスッ…。
「ん?」
左肩に何かが触れた。同時にフローラルな香りが鼻腔をくすぐる。
何事かと見れば、
「……っ!?」
本当に、口から心臓が飛び出そうになった。
だが必死に驚きと叫び声を抑え、恐る恐ると
「スゥー、スゥー…」
穏やかな寝息たてる美女がいた。
そういえば『人の多い所は苦手だ』と言っていたから、疲れたのだろう。
無理に連れ回した罪悪感から、私は
だが
そっと首を伸ばし、
映画好きとあって、真剣にスクリーンを見つめている。かなり集中しているようだし、これなら
右側の
私は右手を振り向いた。
すると、そこにあったのは鋭い
「………っ!?」
明らかに怒りを孕んだ
(ち、違うぞ
「………」
だがほっと安堵したのも束の間。
私が
ほのかに香り漂う、
だが右隣からは、今にも刺されそうな鋭い視線。別の意味で頭の芯が麻痺する。
まさに天国と地獄。
映画の内容はおろか、生きた心地がしなかった…。
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