第40話【薬局長】と〖綾部〗の調剤報酬講座
【薬局長】
皆様ご機嫌よう!
いつも『最近雇ったウチの事務員が可愛くて仕方ない』を読んで頂き、感謝しているわ!
前回は完全に皆様を置いてきぼりした内容だったので、私が改めて病院と薬局の関係や利益について説明して差し上げるわ!
ちなみにアシスタントは今回も
〖綾部〗
皆様、お疲れ様です。
【薬局長】
今日は宜しくね、
〖綾部〗
宜しくお願い致します。
【薬局長】
もちろんよ! 何でも聞きなさい!
〖綾部〗
そもそも調剤薬局は、どのように利益を得ているのですか?
【薬局長】
最初から良い質問ね!
基本的に『医』『歯』『薬』など保険証が使える機関は『点数』と呼ばれる報酬を、国や地方自治体から頂いているの。薬局の場合は、ここに『OTC』というサプリメントやマスクなどの医療用品を販売した販売利益も加わるわ。
〖綾部〗
『点数』とはなんですか?
【薬局長】
簡単に言うと『診療行為や調剤行為を行ったことに対する専門家や医療機関への報酬を点数化したもの』よ。基本的に1点10円で計算されているわ。
〖綾部〗
処方する薬を『後発品』にすることで院長と事務長が揉めておられましたが、そもそも『後発品』とはなんでしょうか?
【薬局長】
『後発品』というのは『ジェネリック医薬品』のことよ。
医薬品メーカーが独自に研究開発したオリジナルの薬を『先発医薬品』または『先発品』と言うのだけれど、この『先発品』を模して作られた薬が『後発品』ね。
〖綾部〗
『先発品』と『後発品』は、なにが違うのですか?
【薬局長】
色々あるけれど、やはり一番違うのは価格ね。
基本的に、『先発品』より『後発品』の方がずっと安いわ。他には、用いられている基材なども『先発品』と差別化されているわね。
〖綾部〗
申し訳ありません。今一つ理解が追い付きません。
【薬局長】
そうね………例えば、
でも専門店で手作りの品を買うのと、コンビニで既製品を買うのでは値段は何倍も違うわよね。どころか味も見た目も原材料の産地も、なんなら商品名も違う。
なのに、どちらも米と梅干しを使った〈梅干しのオニギリ〉であることに変わりないわ。『先発品』と『後発品』の違いは、だいたいそんな感じね。
〖綾部〗
なるほど、さすが
ところで、
【薬局長】
これもまたややこしい話になるのだけれど、薬局としては沢山『後発品』を出す(調剤する)ことで国から支払われる報酬が増えるのよ。というより、『後発品』を出さないと報酬が減らされる、と言った方が適格ね。
〖綾部〗
それで
しかし、話を聞く限りでは『後発品』の方が安価で患者様にとってもメリットがあるように思えますが。むしろ支払いが高価になる分、『先発品』を望まれない患者様も多いのでは?
【薬局長】
残念ながら、そうじゃないのよ。
ウチのメイン処方元は7割が〈つがみ小児科〉なの。地方自治体にも依るのだけれど、『医療助成』と呼ばれる支援制度のおかげで小児科は患者様の負担(直接支払うお金)が極めて少ないの。『子供は医療費0円』という市町村もあるわ。
〖綾部〗
それは素敵な制度ですね。
【薬局長】
たしかに患者様にとっては良い制度ね。でも、薬局からすれば大きな問題なのよ。
たとえば
〖綾部〗
そうですね。
【薬局長】
でも、そもそもの支払いが少ない小児科だと、その恩恵(差分)も少ないから、患者様としてはどちらの薬を処方されようとお財布に影響が無いの。なんなら0円は何割引しても0円よ。
〖綾部〗
なるほど。それなら私も先発品を選びます。というか、効能が同じであれば、どちらでも良いです。
【薬局長】
でしょう? でも『先発品』を使うと、当然そのぶん『後発品』の調剤量が減って、薬局は国から貰える報酬が減ってしまうの。
〖綾部〗
そういうことでしたか。しかし、前回院長は医薬品の納入で差益を出せば良いように仰っておられましたが。
【薬局長】
『薬価差率』のことね。それも色々問題があって……というか、
〖綾部〗
なんでしょうか。
【薬局長】
この話って、誰か興味あるのかしら?
〖綾部〗
………皆様、今日は読み飛ばして頂くことを推奨いたします。
【薬局長】
いや遅いわよっ!
⦅火野陽登⦆
皆様、今回は本当に申し訳ありませんでした。
しかし薬局運営のことで疑問点などあれば
いつもこんな拙作を御覧いただき、本当にありがとうございます。
(良ければフォローや評価レビュー、サポーター登録などして頂けると嬉しいかもです。Twitterもやっておりますので………いえ、すみません。調子に乗りました…)
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