第16話 03月24日
「――それで、この【レセコン】と呼ばれるパソコンに患者様の情報を入力していきます」
「わかりました」
入職3日目。今日は
基本的に新人研修は私が請け負うのだが、先ほどまで
そのため急遽、
「あまり
嬉しい誤算だ。
仕事も順調に慣れているようだし、
私は他の事務員さんや看護師さんと彼女を合わせることにした。入職から初の顔合わせだ。
※※※
夕方から勤務の看護師さんが、お二人とも出勤されたタイミングで「このたび
すると二人の看護師さんは、驚いた様子で「可愛い!」と心音を漏らした。
「お名前は……”おじょう”さんて言うの?」
年配の看護師さんが
「あ、いえ。
「あらー、声も可愛らしい! 本当にお嬢さんみたいね」
「ほんなら、
もう一人の看護師さんが便乗した。京都の出身らしいイントネーションで。
「あ……わたし、実は高校の時も
「あ、やっぱり。なんやそんな雰囲気やもんね」
「じゃあ、これから宜しくね。お嬢ちゃん」
「は、はい。よろしくお願いしますっ」
前に
それから数分後に来た遅番の事務員さん(29歳・既婚女性)も、看護師さんと同じようなリアクションだった。
「じゃあ今日の研修はこれくらいにして、上がりましょうか」
「はい」
「お疲れさまでした。お先に失礼します」
「お疲れ様です」「お疲れさまです」
丁寧に腰を折り挨拶をする『お嬢さん』に、二人も同じように頭を下げた。
私と『お嬢さん』は、並んで2階の事務所へ向かった。
「あの……事務長さん」
「『事務長』で良いですよ。どうしました?」
「
「確か、25~26歳だったと思いますけど」
「やっぱり……私とそんなに変わらないのに、すごくしっかりされてて……大人の
「
「………」
「でも
「そ、そんな、わたしなんて全然…」
「本当ですよ? 覚えが早くて、言葉遣いも丁寧で。僕も見習わないと」
あっけらかんと笑う私に反して『お嬢さん』は頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうに手を振った。
縮こまる彼女の姿はとても純粋で見た目より幼かった。
「じゃあ、次回も今日と同じ時間で御願いします。お嬢ちゃん」
うん、やはり『お嬢さん』よりも『お嬢ちゃん』という方がしっくりくる。
「じ、事務長…」
照れ臭そうに、けれど嬉しそうに微笑む彼女の姿が、私の心を
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