第2話
一年一組の教室内。
高校入学後、暫くしてから実施されたはじめての定期考査にて。
「え、俺、カンニングなんかしてないっすよ先生!!」
「じゃあこれは何なんだ!?」
俺は、あらぬ疑いをかけられていた。
「立て!机の中にあるのはカンペだろう!」
「他にもまだ証拠があるかもしれない」
俺は黙って席を立ち、
無実を証明しようとした。
しかし。
開かれたテキスト、俺が試験官の目を盗んで見ていたと、俺の真後ろの席に座る、
学年一位のイケメンでお金持ちのお坊ちゃんが
「不生の現場を見ていた」と嘘の証言をついさっき先生にしたんだ。
「先生!俺の目の前に座る、山吹くん、
堂々と悪さしてましたよ!」
俺は見ていないのに、
テキストを開いたまま机の中に入れた覚えなどないのに。
嵌められた...!
完全に....!!!!!
後ろのイケメン藤島にっっ!
いつ、その仕込みがされたかは
不明だが、多分、俺が休み時間にトイレに行こうと席を立ったときにやられたんだと思う。
俺は退室させられ、
職員室でネチネチとした説教を食らうことになった。
職員室で。
俺は怒りに震えていた。
冤罪なのに随分な処分が下された。
理事長直々に
「退学処分を言い渡す」などと言われ
目の前が真っ白になった。
「そんな...!!」
「俺、カンニングなんかしてないのに...」
「別にそれだけじゃない。
タバコを吸っていたって噂もあるし、
他校の女子生徒に手をあげたって話も聞いたからだ」
「目撃情報も多数あるし、被害者の女の子
自ら、おまえの名前を挙げて、私の元に訪れ、直々に
厳しく処分(退学などに)してください」と泣きながら言ったんだ」
「俺、そんなことしてません!!」
「タバコ?女の子に悪さ?」
「全く以って身に覚えがないです!」
反論したが、聞いてくれなかった。
俺は職員室を後にして、
放課後、いそいそと帰ろうとしてる藤島を
下駄箱のところで呼び止めた。
「何だって俺のことはめたんだよ...!?」
「こっちはよくわらないうちに、退学処分を言い渡されてさ...!!」
「ああ...。それはおめでとう。
俺的には狙い通りってとこかな...」
藤島は不敵な笑みを浮かべて、
俺に近寄ってきた。
そして言う事には。
「いいか、この高校の一学年に超絶イケメンは俺ひとりでいい。
おまえは俺と顔や中身が似てる。
その整った目鼻立ち、そして、背丈、
仕草、俺とキャラが被っているのが
そもそも気に食わねぇんだ」
「それによ、俺より頭がよさそうなところとか
気に食わねぇ...!先生の質問にすらすら答えちゃうあたり、マジでムカつく!」
「だからな、先日、俺、他校の女子生徒にナンパして断られたから、そいつのこと、頭にきて突き飛ばしちまって怪我させたんだけどよ、
俺とナリが似てるおまえに、
罪を被ってもらったんだ」
「あとなー、タバコも吸ったのは俺だけど、
おまえが吸っていたことにした」
「被害者の女と、タバコの現場を見てた
奴に金を握らせてよ、俺の企み通りに
動いてもらったんだw」
父親がどっかの大企業の社長だとかで、
ボンボンだって噂はあった。
お小遣いも月20万、親からもらってるって
話も耳にしたことがあった。
「すげぇよな。金の力ってのはさ。
人を簡単に思い通り動かすことができるんだ」
藤島は声高らかに笑い、
「じゃな!俺はこれから塾に行かなきゃだからさ」
と捨て台詞を吐いて俺のまえからそそくさと
居なくなったのだった。
俺は。
この時。
携帯の録音機能をオンにしておけばよかったと心底思った。
でも、そんな用意周到なことは
していなくて、
クソォッ....!!
って心の中で悔しがることしかできなかったんだ。俺は仕方なく退学した。
どうせなら家から一番近い高校に編入しようと
思い、今は共学だが元女子校へと転入することになった。
もはや、心身はズタボロ。
昔はワックスで髪の毛をかためてキチッとしてたが、心身をやられるとだめだな。
髪の毛は伸ばし放題のボサボサ。
さらにコンタクトもめんどくさくなって
眼鏡をかけて登校する自分がいた。
ほぼ女子校に行けてルンルンなんて気分には
到底なれなかった。
陰キャに優しい美女ギャルなんている訳ないだろ!と思っていた。そう、彼女と会うまでは...。美女ギャル「そこのヲタクくん。あたしと〇〇しない??」俺「え」 雲川はるさめ @yukibounokeitai
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