第三章 ハティクヴァ‎

入院3日目

 この日は昨日と同じく沈鬱な気持ちで目覚めた。


全関係者が俺を病気の者として接してくるのが見え見えで嫌だ。

TOTOのトイレの赤外線センサーの方が分け隔てなく人間扱いしてくれる。

大学に戻れなかったらどうしようという思いに支配されている。

帰りたい。帰りたい。帰りたい。

火曜日に父が迎えにくるという希望が生じた。

父、火曜日(3月22日)午後1時に来て一緒に先生と話す。

父が火曜日のための飛行機のチケットをとったとのこと。これこそまさに福音である。


入院4日目

 この日は前日の希望を引き継ぎ、よい目覚めであった。


毎夜毎夜バリエーション豊かな叫ぶ人が出る。


 この頃、夜になると毎夜毎夜違った人が叫んでいることに気づいた。それもだいたい午前3時ごろ。この日は、「俺は自由だー!!」「ゴジラがやってくる、やなせたかしがやってくる」などと叫びながら廊下を走り回る青年の声が聴かれた。


午後2時、今日はなんだかずっと寝ている。

今まで軽んじていた自由や人権の大切さが学べた気がする。

「パニック発作」を自閉症のパニックと混同している看護師がいた。

よかったよぉ~!!退院できそうだよぉ~うわあぁぁん。



入院5日目

16日の精神状態は、個人的には、躁というよりは発達障害からくるパニック、癇癪のような気がする。しかし、その判断は個人的に行うのは問題があるので、医者に従うこととする。

アスペにはまともな人間関係は一生無理なのか?

入院はもうこりごりだ。不健康なことは佐藤や山崎のように病院に入らずにやろう。そうしないと嫌だし、粋でもない気がする。

余裕が出てきて、また平生のように父の偏見まみれの精神科観に敏感になってきた。

酒飲んで忘れた方がよっぽど健全な気がする。


入院6日目

もはや思考は解放後のことにシフトしている


入院7日目

ようやく希望の日である!

発達障害の改善は、理性で行うべきだが、目標はオートマチックに普通のことができるようになることだろう。そのために必要なのは訓練である。

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