異能脳髄摘出始末 4
「それで? 車は今どこに?」
「恐らく特区かと」
「よりにもよって……」
そう言って所長は
「しかしまだ特区機関に発見されたという報告はありません。急いで回収すれば――」
だが、所長は首を横に振る。
「最悪の状況を想定すべきだ。それに……特区の犬ども――」
「治安維持部隊IMMU」
秘書の言葉に所長は
「奴らを甘く見ない方が良い。
●●●
巧と龍助の報告を聞いた女は、両手の指を組み――もう
「なるほど。話は分かりました。……ところで――」
首を傾げる四本腕の女。
この事務所の主。龍助の姉で、立場上は龍助の上司に当たる。
IMMU隊員、
四本の腕の一対は通常の外見だが、もう一対は
顔つきは
髪は長く、スカラベのネックレスをしている。
「巧君、どうしてその棒を持ったままなんですか?」
「いえ、最近掃除をしてなかったから汚れていて……
「……捨てようと思っていたタオルが洗面台に。あの花柄の――」
「薄緑の奴ですよね? ……椀田、取って来て貰えるか?」
「わかった」
巧の要求に素直に応じる龍助。
巧が「悪いな」と言うと、龍助は部屋を出ていきながら、首を横に振って応じる。
「その様子じゃ仕方がない」
龍助の視線の先には先ほどトラックの荷台で発見した女。
今は服を着ており、巧の隣のソファーで身を
そんな彼女の上着の
「男だってことは言った
「武装器官よりかは『普通』に見えますからね。仕方がない、このまま巧君にも同席して貰いましょう……察するに外――特区外の方ですね?」
女は顔を
「お名前をお聞きしても?」
「櫛谷と言います。
そういった直後、撫子は恐る恐るといった様子で、
「あの……ここは外道外科特区なんですよね?」
撫子の質問に、日向は大きく頷く。
「ええ。
それを聞くと、撫子は
「お願いです、助けて下さい」
しかし、その言葉を聞いた日向は溜息を一つ
「はあ。巧君がまた厄介ごとを連れて来たみたいですね。もしかして何かに呪われてるんじゃありません?」
「神社とか行った方が良いですかね? お
「例のカルト教団はどうでしょう? 案外お友達価格でやってくれるかもしれません」
「おい、井原。真面目に話せ。姉貴もだ。話が進まない」
放っておけば
「で、助けるっていうのは何から助けるんだ? 俺たち特区の治安維持機関が、外の奴のためにしてやれることなんて多くはないぞ?」
「多分まだ狙われてます。国立の……特区外の研究所に」
撫子のその言葉に、龍助が表情を引き締めた。
特区住人、中でもIMMUは、特区外への
「国立機関が関わる案件ですか……詳しくお聞かせ願えますか?」
日向は撫子を
その顔つきはにこやかではあったが、やはりどこか、
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