第15回書き出し祭り
ジンパパ感想15-1-1 高一の夏は、一点限りの割れ物につき。
15-1-1 高一の夏は、一点限りの割れ物につき。
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Option:率直な感想
面白かったです。
まずタイトルが素敵でした。一度きりという意味を「一点限り」という言い方に込め、そして「一点限り」という、まるで繊細な工芸品のような言い回しからの「割れ物につき」。語感の良さも相まって、とても素敵なタイトルでした。
そして、あらすじがまた最高でした。
短い文章や言葉を散りばめることで、余韻や空気感を演出している。そんな風に感じました。
こうしたタイトルやあらすじから感じた期待を胸に本文を読ませていただきました。本文も、あらすじ同様、「夏」を感じさせる描写にあふれ、主人公とヒロインの淡い、感情のすれ違い模様なんかも丁寧に描かれていて、好印象でした。
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そっと、鈴の音が風鳴りに囁かれた。
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瀬戸さんの声を鈴の音に喩えた暗喩。めっちゃ良いですね。ここ好きです。
さて。「率直な感想」をとのことでしたので、気になった点についても書かせていただきます。
この作品、二つの「── ◇ ──」と一つの「── ◆ ── ◆ ──」で、全部で四つの部分に分けられています。
ボリューム的には前半の三つの部分で全体量の半分ぐらい。最後の四つ目の部分だけで半分ぐらいを占めています。
区切り記号に違いを持たせている点も若干気にはなりますが、それ以上に気になったのが、四つ目の部分は台詞が多くなり、風景描写が減っている点です。
惜しいです。せっかくこの場面だけ、夜なんです。夏の夜の描写をもっと突っ込んで欲しかったです。
民家と民家の間では街灯が少ないために、足元が暗かったりするのかな?
一方、見上げると満天の星空が広がっていて、吸い込まれそうな感じがしたり、あるいは、割れたガラス片を撒いたような感じがしたりして。
田んぼや畑が広がっていて、時折ツンと土の臭いがしたりするのかな?
そこでは、蛙や虫がかまびすしく鳴いてるんじゃないかな?
盛夏の昼間の熱気が夜に持ち越して、生暖かい夜気がまとわりついてくるのかな?
……と、そんな風に色々と想像するものの、この四つ目の部分だけは、そうした描写がちょっと物足りない、もっと欲しいなと感じてしまいました。
前半の三つの部分と、四つ目の部分の雰囲気が明らかに違うのが、作者様の意図であれば申し訳ありません。ただ、私は個人的には前半三つの部分のような描写の仕方が続いてくれていた方が良かったな、と感じました。
以上です。雰囲気のある素敵な作品でした。
感想依頼、ありがとうございました。
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