ジンパパ感想15-1-8 妹は死に戻る〜お姉様は悪役令嬢なんかじゃありませんわ!〜

15-1-8 妹は死に戻る〜お姉様は悪役令嬢なんかじゃありませんわ!〜

Option:気になる部分あれば


 また難しい注文が付いてます。気になる部分……正直ないです。そりゃ、なんで死に戻ることになったのかとか、姉を陥れた陰謀と影の主犯が誰なのかとか、死に戻った次の生の中で姉は救われるのかとか、そういう「気になる」はたくさんありますが、それを楽しむ作品ですしね。書き出しとして読んでいて気になるようなところはありませんでした。


 なにしろ、登場人物の人間造形が上手いんですよ。主人公がどれだけ姉を慕っていたか。姉が(妹の身びいき抜きで)どれほど良い人だったか。父が自分の意思を表に出せない流されやすい性格だったか。継母とその連れ子がいかに性格の悪い人間だったか。

 丁寧な描写のおかげで、こうした主要な登場人物が実にわかりやすく紹介されていて、「なるほど、なるほど」と得心しつつ、読み進めることができました。


 聖女かと見まがう素敵な姉が、なぜ死刑宣告を受けるに至ったのか。ここも説明が丁寧で説得力があり、「さもありなん」と違和感なく読み進めることができました。

 主人公がどうやってお屋敷を抜け出し、姉の公開処刑場に行けたのか。そんなところまで気を配った説得力ある丁寧な説明。

 説明の出し方が実に上手い。見習いたいポイントの多い作品でした。


 ラストのところ。


―――――

 父の肩越しに室内を眺めていたブリジットは、扉が開く音を聞いてそちらを見た。

 そこには先程までの自分とそっくりな、アデレイドが立っていた。

―――――


 ここだけ、若干分かりにくかったのですが、死に戻る前のブリジットが十歳。死に戻って生まれたばかりのブリジットが目にした姉が、ちょうど十歳ぐらいだったので、「先程までの自分とそっくりな」となったのでしょうか。

 姉とは十近くも歳が離れていたのですね。


 さて、今後の展開については、あらすじが頼りです。(ここからは、妄想です!)


―――――

周囲に対する様子からアデレイドには記憶がないと判断したブリジットは決意する。

二度目の人生は、必ず姉を幸せにすると。

なりふり構わず頼れる人間を味方に付けていくブリジットだったが、それは継母やヒルダの怒りを買う行動でもあった。

多方面からの妨害を受け、立ちいかなくなったブリジットを助けたのは意外な人物でーー

―――――


 死に戻る前のブリジットは僅か十歳。聡明なお嬢さんですね。きっとお姉さんも聡明なんじゃないかなって思うんです。なので、


―――――

周囲に対する様子からアデレイドには記憶がないと判断した

―――――


 ここ。実は姉も記憶をもっていて、でもそれをブリジットにも隠してるんじゃないかなって思うんです。

 ブリジットを助けたのは意外な人物、それは姉のアデレイドだった。


……なんて、勝手な妄想しつつ、続きを待ちたいと思います。連載、されますよね?


 面白さの詰まった素敵な作品でした。感想依頼、ありがとうございました。

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