15-1-17 推しのVtuberに転生した私が、何故か魔王さまに溺愛されてるんですけど！？

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Option:面白いと感じた点多めで

　面白いと感じた点多めって……。全部面白かったんですが。全部！　で終わっちゃいますよ？（笑）

　それでは芸がないので、どうしてこの作品が面白いと思えるのか、掘り下げてみます。

　まず、勢いのあるキャラクターって諸刃の剣ってやつで、読者がノレるとテンポが良くて楽しいになりますが、読者が置いてけぼりになるとツマラナイにもなりかねない。それが、この作品の場合、荒唐無稽な設定にも関わらず、うまく読者をノセることに成功しています。それはまず冒頭に仕掛けがあると思うのです。

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　ネット動画って見てますか？

　ライブ配信って好きですか？

　――大好きな推しって、いますか？

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　ネット動画をよく見てようが見てまいが、ライブ配信が好きだろうが好きでなかろうが、この書き出しのお陰で、読者は「どういうスタンスに身を置いて読めばよいか」を知るのです。この３行の効果は大きい。しかも強調された３行目。「大好きな推し」がいる。そんな推しの配信動画が好きで好きでたまらない。はい、そういうスタンスで読んでね！　と作者様は仕掛けているのです。しかも、柔らかい問いかけというスタイルで。押し付けがましさを一切見せずに。上手いです。読者は自然に心の準備が出来た状態で作品を読むことになります。

　次に、キャラクターの配置と役割が上手いです。混乱を極め、テンパる主人公を誘導し、物語を進めるガイド役の猫のぬいぐるみ。このキャラクターが居なかったら、テンションの高い主人公がとっ散らかる様子ばかりを延々と見せられるところです。程よくアシストが入ることで、きちんとお話が進んでいくし、掛け合いが見ていて楽しい。そんな相乗効果が得られます。

　転生前のリアル世界に配した友人のサキちゃんも、またとても良い効果を生んでいます。耳にかかる吐息、きっといい匂いなんだろうな。くんか、くんか。彼女のトレードマークであるポニテのキャラがそのうちV世界に登場するのは間違いないでしょう。

　そして、イケメン天然魔王くんの登場。元のリナちゃんの配信で頭出ししておいての登場って仕掛けにしびれました。ドアチャイム鳴らして「隣に越してきた」と魔王の肩書きしょって現れるのにのけぞりました。

　こうしたキャラクターの配置と役割が上手く機能しているお陰で、読者は飽きることなく、主人公を追いかけて行くことができます。

　これがこの作品の面白さに繋がっているのだと思います。つまり、全部です。なぜV世界に転生したのか、そんな疑問を吹き飛ばし、作品を楽しむことができるのです。

　ただ一つ疑問が残ります。元のリナちゃんの中の人は「引退」したから出て来ないのでしょうか？　私はそれがイケメン天然魔王くんなんじゃないかと睨んでいます。