第5話

約束の日、図書館に行こうと玄関に向かうとめいが駆け寄ってきた。

その後を祐樹が追ってきてめいを捕まえる。

「今日めいは家でお勉強でしょ」

「一緒に行きたい」

「だめだめ。迷惑になるから」

「嫌。一緒に行くの」

どうやらめいは一緒に図書館に行きたいと、祐樹を困らせているようだ。

初日が嘘だったかのように、めいは僕に懐いている。

仕方ないので、智哉達にめいを連れて行ってもいいか聞くと快諾してくれた。

静かにしていることを条件に一緒に行くことになった。

祐樹は心配にため息をついたがおそらく問題ないだろう。

図書館につくとふたりはもう教科書を広げて勉強を始めていた。

智哉はこちらに気が付くと「おー。新太!!」と声をあげて、隣のあやに「ちょっと!」と小突かれる。

相変わらず夫婦漫才のようなことしている。ふたりとも変わらないなと思いながら席に座る。

少しして、めいが読みたい本を取りに席を立つとあやが小声で聞いてきた。

「あの子って本当に親戚とかじゃないの?」

「祐樹さんの知り合いの人の子供って言ってたけど、なんで?」

「なんか新太くんに、似てるなーって、ほら目元とか特に」

「わかるかも、雰囲気も似てるよな」

「そうかなあ」

自分ではよくわからないなと思う。

「祐樹さんの隠し子だったりして」

「ありそう」

「いや、ないから」

と、馬鹿らしい会話をしながらも三人は課題を進める。

めいは約束通り隣で静かに児童向けの本を読んでいた。


課題がひと段落付き、今日は解散することにした。

「これで再試ばっちりだわ」

智哉はぐっと背中を伸ばした。

「ともくんこれでダメだったら許さないからね」

「大丈夫だって、任せとけって」

「じゃぁ、智哉の再試通ったらどっか遊びに行く?」

そう提案すると

「あ、そうだ」

あやは思い出したように手を打った。

「そういえば、水族館のチケット四枚貰ったんだけど一緒に行かない?よかったらめいちゃんも一緒にさ。」

「いいじゃんいいじゃん!一緒に行こうぜ」

「ともくんは追試終わってから言ってください」

「はいはい、わかったよ」

と、めいに一喝された智哉は肩をすくめた。

智哉の追試の結果が出たらまた連絡をもらうことにして帰路についた。

帰る途中めいはなんだか楽し気に見えた。

水族館に行くのが楽しみなのだろう。

そんなめいの横顔を見ながら、ふたりに似ていると言われたことを何となく思い出していた。

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