第5話 免許取得への道

父親が乗っていたバイクを乗ることになったわけだが、まずバイクを乗るには自動二輪免許が必要になる。

だが問題がひとつあった、それは運転免許を取得する為の金銭面だ。

教習所に通うとなるとまだ所持免許がない彩葉は、技能と学科の講習を受けなければならない為20万円ほどの費用がかかってくる。

蓮が生活費としてある程度纏まったお金の入った銀行のキャッシュカードと通帳を用意しておいてくれたがそれを使うわけにもいかない。

そこで京香がひとつ提案した。


「現実的じゃないけど格安で取得する方法はあるわよ、運転免許センターに直接行って一発試験を受けるという方法よ。」


教習所に通って免許を取得するのが一般的な方法だが、教習所を通わずに直接試験場で試験を受ける一発試験の二択がある。

一発試験のメリットは教習所に通うより大幅に費用を抑えることができ、お得のように思えるが合格率が低く一発試験とは言ってはいるが実際に一発で合格するのは極めて稀なことだ。

しかし彩葉は免許を取るには一発試験しかないと思った。

一発試験なら試験手数料、車両使用料、免許交付手数料を含めても6100円という魅力的な費用。


「私には教習所を通えるほどのお金はありません、一発試験でなんとか合格するしかないと思います…教習所で教われないということは個人で練習するしかないってことですよね?」


京香は先月、蓮から言われたことを思い出した。

それは京香の兄に頼んで教習車を1台借りて欲しいと言っていたことを。


「私の兄に頼んで練習に使うバイクを持ってきてもらうわ。」


京香と彩葉が話していると剛が「洸平が持ってきたバイクならあるぞ」と教習仕様のCB400SF持ち出してきた。

蓮はおそらくこうなることを予期してたんだろう…

妹である彩葉が、移動手段を確保する為にバイクを必要と感じる時がくることを。


「さすが兄さんね!まさかこんな早く用意してくれてたなんて、これで練習できるわね。」


これで練習することはできるが問題は場所を確保しなければならない。

京香はどこかいい所はないかと考えていると、彩葉が「廃校が決まった私の母校はどうですか?」と提案すると京香はアスファルトの駐車場スペースがそれなりに広く練習する為に利用するにはちょうどいいかもしれないと彩葉の提案に賛成した。

話し合っているうちにすっかり空が暗くなってしまったので、明日は土曜日ということで練習は明日からにしようと話してたところで京香の兄・洸平が帰ってきた。


「なんだか騒がしいなと思ったら、蓮に頼まれて借りてきたバイクを使う時がきたってことか。」


洸平は明日は休みということで、彩葉の練習に付き合ってくれると言ってくれた。

とりあえず彩葉の母校の元校長に京香が連絡したところ、もう既に校舎内に入るのは無理だと言われてしまった。

洸平にどこかいい所はないかと聞くと、家の近くに広い私有地の空き地があるのでそこで練習することになった。


すっかり遅くなってしまったので、京香に家まで送ってもらった。

帰宅した彩葉はシャワーを浴びて、明日に備えてすぐ寝ることにした。


これから彩葉の猛特訓が始まる!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る