第12話 うー.....!

男装の理由は相変わらず分からん。

でも何だろうな.....何だかその。

一つだけ分かった事がある。


周りはそんな分からん理由でも受け入れてくれている。

俺はその事に少しだけ困惑しながらも。

笑みを浮かべずにはいられなかった。


「クラスマッチどうするんだお前ら」


「そうだね。私は男装する」


「私も男装だよ」


「.....いや。良いけどさ。大変じゃないか?本当に」


「クラスマッチは1年の時も男装で過ごしたよ?委員としてだからクラスマッチの全てに参加せずに」


そうか、と思いながら俺は屋上で2人を見る。

2人は笑みを浮かべながら俺を見ていた。

そうか.....クラスマッチという行事には全く参加してなかったなコイツら。

去年は、だ。

俺は考えながら空を見上げる。


「クラスマッチ.....1年は何もしなかった。今年は何かしたいな。俺は」


「あ!だったら委員になったら良いんじゃ無いかな」


「それは良いと思う。.....そしたらサボれるんじゃない。私達と」


「それ良いかも。私達とサボろうよ。クラスマッチ」


サボるってお前らな。

クラスマッチはサボれないだろ。

俺は思いながらジト目で2人を見る。

2人はニコニコしながら俺を見ている。

するとこんな事を言い出した。


「あ。そうだ。クラスマッチもそうだけど4月になったら入学式があるよね」


「そうだね。確かに」


「.....そうだな。それがどうしたんだお前ら」


俺は詩織と詩子を見つめる。

詩織と詩子はニコッとしてから頷き合う。

それから、実はね。私達の親戚の女の子が入学するの。この学校に、と言ってくる。

俺は、え?、と思いながら詩織と詩子を見る。

詩織と詩子は、私達の理解者なの、と言ってくる。


「私達を充分に知っている理解者の親戚だから楽しみ」


「私達を支えてくれるの」


「.....そうなのか?会った事.....と言うか初めて知ったぞお前」


「そうだね.....教えてなかったのは事情があるの。会った事が無いのもね」


え、と俺は思いながら詩織と詩子を見る。

すると詩織と詩子は少しだけ複雑な顔をしながら、実は引き篭ってたの、と告白してくる。

俺は、!、と思いながら眉を顰める。

それはどうして、と聞いてみると。

詩子が答えた。


「二宮恭子(にのみやきょうこ)って言うんだけど白髪だから」


「白髪で.....お婆さんってイメージがあるよね。アルビノっていうのかな」


「.....髪の毛で何かイジメとか受けていたのか」


「私達はイジメを受けやすいみたいだから。アハハ」


「皮肉混じりに言うな!」


俺は詩織に怒った。

その言葉に詩織と詩子は目を丸くする。

そして詩織と詩子を見る。

それから複雑な顔で言い聞かせた。


「お前らの事を心配しているんだからな。かなり」


「.....そうやって心配してくれるから私達は成り立っていけるよね。冗談でも怒ってくれるから」


「うん。私達に笑みを浮かべてくれる。瑞稀は良い人」


「分かってるなら良いが。俺は冗談は苦手だ」


「.....うん。ゴメンね」


それから手を合わせる詩織。

俺はその姿を見ながら額に手を添える。

そして、それで恭子っていう娘が入って来るんだな?その娘は.....大丈夫なのか、と聞いてみる。

すると詩織は、うん。私たちが守っていくって決めたから、と答える。

まだ慣らしている段階だけど、と詩子も答える。


「なら俺も慣らしていくの協力するよ」


「.....そう言ってくれると思ったよ。瑞稀ならね」


「きっとそうだとは思った」


「.....そうか」


だから、と言いながら詩子は俺の腕に絡んで来る。

俺は、!?、と思いながら。

詩織も愕然としながらその一瞬を見る。

その中で詩子は、私達とデートして、と言う。


「あのな.....!?」


「私達とデートする事が幸せに繋がる」


「ちょっと詩子!勝手な事をしないの!」


「だってお姉ちゃんだって羨ましいって思っているでしょ」


「思ってないし!」


胸が.....当たっています。

俺は真っ赤になりながら大慌てで抵抗する。

だが詩子はニコニコしながら頬を朱色に染めて俺を見る。

男の格好なのに女の子だ。

クソッタレ可愛い。


「うー!私だって!」


右腕に詩子が絡んでいる。

そして左腕に詩織が絡んできた.....オイコラ!

俺は真っ赤に茹で蛸の様になりながら慌てる。

左腕を振り解こうとしたが。

詩織はガッチリ掴んできている。


「何!?引き剥がすってそんなに私の事が嫌いなの!?」


「いや!そのな!あのな!?」


「何が言いたいの。瑞稀」


「お前も大概だよな!?」


そして頬を思いっきり膨らませる詩織を見ながら。

俺は盛大に溜息を吐いた。

それから詩子と詩織を引き剥がしながら。

次の時間の授業に間に合わなくなるぞ、と説得した。


「そうだね。まあ確かにそうだけどでも瑞稀との時間が大切」


「私もそうだけど!」


「成績が悪くなるぞお前ら!?」


「私は学校順位2位」


「私だって1位だけど何か文句でもあるの」


え?、と俺は眉を顰める。

マジだっけ?それ.....、と俺は青ざめた。

詩織と詩子に再会した事で全て忘れていたんだが。

俺は顔を引き攣らせた。

因みに俺の順位だが学校順位で.....何位だっけか.....。

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