煌めいていく世界

第10話 襲い掛かる影は.....そう!詩織だった!.....何で!?

今の所.....詩子と詩織という素性がバレているのは、遠山さんもとい悠。

そして保健室の目黒先生。

それから理事長のおっちゃんといった所か。

あとは教職員で誰かバレているかもしれないが.....それは後回しだ。


取り敢えず今はこの先どうするか。

そして悠に俺達の関係性を説明する時だろう。

考えながら俺は目の前にあるミルク紅茶を飲む。

カフェに到着してから俺達は駄弁っていた。


「それでね.....塾のテストは良いんだけど予想外の範囲が出ちゃったの。それも先生何も言わないでよ?それって酷くない?」


「えぇ。それって酷いね。どうしてそんな事を」


「私も酷いと思う」


というか。

お前ら仲良くなりすぎじゃね?

俺は白目に考えながらケーキを摘んでみる。


確かにケーキも美味いなこれは。

何もかもが美味い。

考えていると悠と目が合った。

それからニヤッと悠が俺を見てくる。

な、なんざんしょ。


「ねぇねぇ。詩織ちゃんと詩子ちゃんとキスはしたの?」


「ブッファぁ!!!!!」


「き、きす.....」


「キス!?」


紅茶を思いっきり噴いた俺。

それから俺は悠を赤面で見る。

あ。その反応怪しい〜、と言ってくる悠。

いや揶揄うな。

よく見れば.....詩織と詩子は目を見合ってバチバチと火花を散らしているしな。


「良いなぁ。青春って感じだよね」


「あのね。遠山さん。深く首を突っ込みすぎ.....」


「そうかな?キスぐらい良くない?好きなんだよね詩織ちゃんも詩子ちゃんも」


「いや良くねぇよ。絶対に良くない」


「えー」


俺は咳払いをした。

それからそのまま話題を変える。

3月といえばクラスマッチがあるのだが。

準備とかどうなのか、という無理難題な話題だった。

でも今の話題よりかはマシだろう。


「クラスマッチの行事の後に後夜祭がある。そこでは告白祭がある」


「.....そうだね。詩子.....」


「.....」


ニコォッとする詩織と詩子。

あ。これ駄目だ。

話題を変えたけど良くないわこれ。

だってそうだろ。


殺し合いでも始まりそうな目をしているぞ2人とも。

それに遠山さんは煽っているし。

良くない。


「お、お前ら。落ち着け」


「落ち着けるかな?これが。だって後夜祭の告白祭りだからね。告白指定した男子に告白したら付き合える願いが叶うって話だよ。うちの学校って結構.....恋愛成就の学校だよ?」


「そう」


「.....だからといえそんな殺し合いみたいな目は良くない」


「そんな目はしてないよ?ねー。詩子」


「そうだね。お姉ちゃん♪」


明らかに獣ですね。

世界の中心で愛を叫んだケモノってか?

俺は顔を引き攣らせながら光景を見つめる。

するとパンケーキがやって来た。

注文したものだ。


「やっと来たねぇ。この店の特徴って色々な種類のパンケーキなんだよ」


「ああ。そうなのか」


「だからみんな食べて食べて。私が奢るから」


「えー.....でもそれ悪いよ」


「私達も出す」


それは確かにな。

折角、色々と教えてもらったのに御馳走ばかりは悪い。

俺は考えながら詩織と詩子を見ながら頷く。

それから笑みを浮かべた。


「じゃあ半分こにしようか」


「.....そうだな。それだったら良いかもしれない」


「じゃあ私も賛成」


「私も」


それからパンケーキを食べ始めてから。

話題は更に泥沼化した。

どういう事かというと.....。


大昔の愛の告白をした時のプロポーズの言葉は?、とか。

何でその時はみんなを好きになったの?、とか。

地獄かここは。


「恥ずかしいって.....悠」


「良いじゃん。羽柴くんが男らしいのもっと知りたいな」


「じゃあ私が解説する」


「.....解説?」


いきなりクリアファイルを取り出した詩子。

何だこれは、と思いながらテーブルの中央に置かれたそれに目を通す。

そこには.....赤くなる言葉の羅列が。

写真付きの俺の解説文章だった。

こんなもん作るとかサイコパスか何か!?


「瑞稀。私は貴方の為なら何でもする」


「お前.....」


「さ、流石に私もドン引きだわ」


「アッハッハ!」


爆笑する悠。

詩織がかなりドン引きしている。

俺はその2人を見ながら詩子を見る。

詩子は丸眼鏡を着用した。

それから所謂ボールペンを出す。


「先ず瑞稀の事だけど。優しい。男前。そして人を大切に出来るなどがある」


「真面目に解説するな!!!!!恥ずかしいんだよオメェ!!!!!」


「あ。でも私も勉強になるかも」


「詩織!?」


何でこんな辱めを受けているのか俺は。

考えながら盛大に溜息を吐きつつ。

そのまま、トイレ行って来る、と席を立った。

全くもう。



流石に出来立てのカフェ。

男子トイレも綺麗だ。

俺はその中でトイレを済ませてから、綺麗で良いなぁ、と思いながら==な目をして爽やかな空間を見ていた。


するとトイレのドアが開く。

マズイ。他の客にこんな所は見せられんな、と気を引き締めるとその入って来た人物に個室に封じられた。

何だ!?


「.....うふふ」


「お、お前は.....詩織!何しているんだ!!!!!」


「折角トイレに来たしぃ?瑞稀とイチャイチャしようって思って」


「アホ言え!?この場所は男子トイレだぞ!それも学校じゃねぇ!見つかったらどうする気だ!」


「彼がキツそうで介抱していましたって言えば良いじゃん?」


舌舐めずりをしてブレザーを脱ぎ始める詩織。

バサッと髪の毛の男装化を解いて、だ。

何考えてんの!?

いかん!何がどうなって.....押されている為に抵抗が出来ん!

た、助けてぇ!

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