何てこった

第7話 バレた!?

取り敢えず何故に男装しているのか分からないが。

これには学校側なども協力している事が分かった気がした。

俺はそれを尊重しようと思う。

つまり俺はとやかく言わないつもりだ。

まあ疑問は疑問だけど。


「え。じゃあ告白したの。お姉ちゃん」


「そう。何か悪い?」


「.....何も悪くないけど。でもなんか急すぎて」


5時限目の休み時間。

詩織の提案で屋上にやって来た。

そして俺達はそんな会話をし始める。

詩織はニヤッとする。

詩子は眉を顰める。


「私だって瑞稀が好き」


「私も好き」


「.....」


「10年以上前の約束がどうあれ。私は瑞稀を愛しているから」


「それは私も同じ」


「お前ら.....恥ずかしいから止めてくれ。その辺りで止めてくれ」


何で?私達は本気で話しているんだけど、と詩織に睨まれた。

俺は顔を引き攣らせながらその姿を見る。

そして盛大に溜息を吐いた。

困るよなこんなの。


「瑞稀。私達は真剣な話をしている」


「それは分かる。だけどな。お前らがそう俺を巡って話していると恥ずかしいんだよ!!!!!」


「譲れない戦いだからね」


「そう。私も」


「.....ハァ.....」


すると予鈴が鳴った。

俺は、やべっ。戻らないと、と言う。

それから、ヤバいね。戻らないと、と詩織も慌てる。

そしてそのまま戻ろうとした時。

詩子がよろめいてから、体調悪い、と言った。


「え!?大丈夫!?詩子!」


「私.....保健室に行く。.....瑞稀。付いて来て」


「へ!?俺!?」


「だって身体を支えてもらうんだから。重たいものを持つ人が良いでしょ」


「.....いや。良いけど」


詩織は、じゃあ私は戻ってるよ?先、と話した。

俺は、ああ。じゃあ俺は詩子を保健室に送り届けてくる、と言葉を発する。

それから詩子を見ると。

ニヤッとしていた.....気がしたんだが。

気のせいか。



「ごめんなさいね。私ちょっと職員室に出て来るから。ゆっくり康太くんを寝かせてあげてね」


「あ、はい」


「.....」


書類を持って慌てている保健室の先生にそう言われる。

それから手を合わせる先生。

詩子を保健室に連れて行ったのだがまさかだった。


俺は心配げに詩子を見る。

詩子は横になって、ごめんね、と言葉を発してきた。

その言葉に首を振る俺。


「大丈夫か。詩子」


「うん。瑞稀が居るから」


「お前はいちいち小っ恥ずかしい事を言うよな。全く」


「うん」


そして保健室のドアが閉まってから。

詩子は俺を見つめてくる。

実はただの食べ過ぎの胃もたれだし気分なんて悪くないけど、と告白してきた。


俺は見開く。

へ?、と思って俺は愕然とする。

すると俺の腕を引っ張って俺をベッドに詩子は引き込んだ。

それから布団を被る。


「.....お、お前何しているんだ!?」


「え、えへへ。馬鹿だね。瑞稀。こんな罠に引っ掛かるなんて」


「お前本気で心配したのに!?アホか!」


「瑞稀成分が足りないからこうするしかなかったの」


そしてブレザーを脱いだ詩子。

それから髪の毛を解き。

そうしてからネクタイを外した。

真っ赤になる俺。

何しているんだコイツは!!!!?


「え、えへへ。瑞稀。こうして押し倒されている気分はどうかな?」


「馬鹿野郎?!良いとか悪いとかあるか!最悪の気分だよ!」


「そうなんだ。最悪の気分なんだ。へぇ」


何をする気なのだコイツは。

ま、まさ、まさか!?、と思いながら俺は詩子を目を回しながら見る。

すると詩子は俺の側で横になる。

え、えへへ。瑞稀抱き枕、と言いながら、だ。

そして頬擦りをしてくる。


「お、お前!女の子の香りが凄まじいからな!い、良い加減にしろ!しかも見つかったらどうするつもりだよ!!!!!」


「私はもう気にしない。瑞稀と一緒だから。だから大丈夫」


「勘弁してくれ!?」


「ねえ。瑞稀。せっかくこうしているんだから何かないの」


「何かって何が!?」


情報誌だと.....男の子はえっちだって書いてあった、と詩子は笑顔を見せる。

赤くなりながら、だ。

胸元が膨らんでいる為に.....谷間が見える。

そして目の前には赤面している顔がある。

これはマズイ.....意識が飛びそうだ。


「.....可愛すぎるってお前が」


「へ?」


「あのな。俺はエッチだよ。男は獣だ。.....だからこそお前には手出しが出来ない。お前が大切だから」


「.....」


数秒考えてから。

ガバッと起き上がる詩子。

そして目を潤ませてカァッと真っ赤になっていく。

何かを思い出した様でもある。


まるで熟したリンゴの様に、だ。

それから口をアワアワさせながら俺を見てくる。

俺も起き上がった。


「お前が大切なんだよ。本当に。だから手出しも出来ないし何も出来ない」


「.....み、瑞稀のアホ。可愛いなんて.....」


「お前は本気で可愛いから。日本語でも英語でも言うぞ。可愛い」


「止めて。分かった。私の負けだから!」


「まだあるぞ。お前の可愛い点は」


「止めて!もうわあった!わあった!!!!!」


わあった?ってなんだ?、と思いながら詩子を見る。

詩子は頬に手を添えて、もう我慢出来ない、と言う感じだった。

恥ずかしすぎてもう無理、的な感じだ。

コイツが誘った癖にな。


「瑞稀。私の事を可愛いって思ってくれていたんだね」


「当たり前だろ。お前は可愛すぎる。詩織もそうだがとても可愛いらしい」


「途轍もなく?」


「そうだ。だから手出しは出来ない。可愛いお前を傷付けたくないから」


「.....」


本気でモジモジしながら真っ赤になりながら俯く詩子。

そうしているとカーテンが開いた。

大丈夫?、という感じで遠山が顔を見せ、ホァ!!!!?


俺達はビクッとなりながら遠山を見る。

遠山はカチンと凍っていた。

当たり前だが。


「な、んで.....え!?康太くん!?羽柴くん.....へぇ!?」


「落ち着け。遠山。何故お前が居るか分からないが落ち着け。取り敢えず落ち着いてくれ」


何回言っているのか分からないが。

取り敢えず叫び声とか上げられると面倒だ。

粛清しなくてはならなくなる。

その場合、だ。


「女、の子なの!?康太くんって.....」


「そうだな。うん。.....説明する。だから叫ぶなよ。頼むから」


これはなんてこった。

と思いながら額に手を添える俺。

それから盛大に溜息を吐いた。

詩子もビクビクしている。

コイツ自身がした癖に。

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