第6話 私だって瑞稀が好きなんだからねぇ!!!!!

そもそも男装理由の何も話さないのでは.....何かその。

何とも言えないのだがどうしたら良いのだろうか。

訳が分からないよ。

でも詩子は僕と契約したいみたいだし(?)


そんな冗談は置いて.....ともかく。

この状態は良くないと思う。

と思い俺は理事長室に単独でやって来てみた。

この学校の理事とかが居る部屋なのだが.....でもなぁ。


「何となくここは行きたくないし.....帰るか」


聞きたいのは山々だが。

俺はそもそも理事長と仲良くする気はない。

考えながら俺は踵を返すとそこにスーツを着込んだ真白な髭を伸ばした老人が居た。

よくその顔を見れば理事長であるではないか。

俺はビックリしながら頭を下げた。


「こんにちは!」


と慌てて言いながら。

すると老人もとい理事長は、いえいえ、と言いながらニコニコした。

それから、もし時間がある様でしたら中で話しませんか、と理事長は言ってくる。


気さくなお爺さんという感じだが。

すると、孫がお世話になっていますね、とも言ってくる。

え?、と思いながら理事長を見るが.....よく見れば詩織と詩子の顔に似ている。

これは一体!?、と思っていると。


「私の孫です。詩織と詩子は。君が例の噂の男の子ですね?」


「マジすか?」


「はい。詩織も詩子も私の孫です。でも.....それで不正をしたとかいう事は無いので安心して下さいね」


「.....マジか.....」


ボディビルダーのあの頃と違い。

すっかり歳を取られたな。

10年前、あのムキムキだったおっさんが、だ。

当たり前でそうだろうけど。


俺は顔を唖然とさせていたが無理矢理に修正した。

そして理事長が誘う理事長室に入る。

そこは金魚鉢が置いてある様な.....豊かな部屋だった。

それから椅子に腰掛ける様に促される。


「失礼します」


「いえいえ。何か飲みますか?」


「いえ。お気遣いなく.....」


「そうですか。ではせめてものお茶でも」


言いながら理事長は外の遊んでいる男子生徒達などを見ながらニコニコしながらお茶を淹れる。

それから、粗茶ですが、と出してくる。

俺は熱いお茶を受け取りながら理事長を見る。

完全に予想外だったこれは。

と思いながら。


「理事長.....先生」


「昔みたいにおっちゃんでも良いですよ?」


「そんな訳にはいかないですよ!?流石に失礼です!」


「ほっほっほ。それでは理事長で構いません」


「恐れ入ります」


そして、その。理事長。何故に詩織と詩子は男としているんですか?、と肝心な点を聞いてみる。

すると、それは詩織と詩子から聞いて下さい、と笑みを浮かべる。

そしてすまなさそうな顔をしてから、私は彼女達を傷付けたくないので、と話す。

俺は、そうですか、と顎に手を添える。


「でも一つだけ言える事があります」


「.....何でしょう」


「彼女達は強くありたいと願った。だから無茶なお願いを聞いて男として入学したのです。貴方には申し訳ないと思っているでしょう」


「.....?」


どういう意味なのだろうか。

俺は考えながら理事長を見る。

理事長は顎髭を触りながら、それにしても逞しい青年に成長なさった。あの頃とは大違いですね、と言って柔和になる。

俺は赤面しながら頬を掻いた。


「瑞稀くん。君ならきっと彼女達の呪縛を解けますよ」


「.....え?呪縛って何でしょう?」


「この10年間は彼女達にとっては地獄の日々だったのです。それで.....呪縛なのです」


「ちょっと意味が分からないですがそこにヒントが?」


「そうですね」


おや。粗茶にはお茶菓子が無ければ、と言いながら立ち上がる理事長。

俺は慌てながら、お構い無くですよ!、と話した。

するとノックされて理事長室のドアが開く。

お爺ちゃん。瑞稀.....あれ?、と詩織が顔を見せた。


「ちょうどこの場所に居ますよ。詩織」


「そうなんだ。探したよ。もー。何しているの瑞稀?」


「いや。あのな。そんな事より驚愕だよお前。何で黙ってたんだよ?」


「え?.....あー。理事長が要お爺ちゃんだった事?」


「当たり前だ。それしか無いだろ。何でだよ?」


それはまあ言う必要もあったかな?って思って、と申し訳無さそうな顔をする詩織。

俺は苦笑しながら盛大に溜息を吐いてから。

そのまま詩織に向く。

コイツという奴は、と思ったのだが。

そんな事より!!!!!、と絶叫しながら俺の元にやって来る。


「詩子が行ったよね。瑞稀の家に」


「そ、そうだな。突然押し掛けて来て.....」


「エッチな事をしたんでしょ!ゆ、ゆ、許せない!」


「おい待てコラ!理事長の前でなんて事を言うんだ!この場で不謹慎で退学になったらどうすんだ!!!!!」


要のおっさんは青筋を立てて冷静に俺を見ている。

そして、ほっほっほ#、と言っていた。

ヒェ、と思いながら目の前の詩織を見る。

詩織は赤くなりながら、詩子にそののかされたから言うけど。私だって瑞稀が好きだからね!!!!!、と真っ赤にな.....ホァ!?


「瑞稀が大好きだから!!!!!黙ってられないってかもう言うから!」


「お、お前ぇ!?ふざけんな!?マジ!?」


「詩子が悪いのよ!詩子が唆したから!だから私だって瑞稀が好きだからね!」


言いながらガバッと動きやすい為かブレザーを脱いだ。

それから要のおっさんを見てから頷いて俺の頬にキスをしてきた。

馬鹿野郎!?何してんだこの不謹慎!?

暴走してやがる!


「お、お前!?ふっざけんな!これではマジに退学になる!」


「ほっほっほ。今この場で退学届にサインしますか?」


「冗談がキツイっす理事長!冗談に聞こえない!」


そして抱き締めてきた詩織。

それから俺をジッと見てきた。

欲望と本能を抑えきれない感じ.....なんですが.....。

だ、誰か助けて下さいませ。

詩子ぉ!!!!!

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