第36話 バルドの新しい世界
36-1
昼食後、マリクとリアムはナターシャさんと共に部屋でお昼寝タイムに入り、シアは揺りかごですでに眠っている
「僕どうしたらいい?」
バルドがトータさんに尋ねる
「好きにしていいぞ。読書でも薬草探しでも好きにすればいい」
「夜寝てた部屋はバルドの部屋だからそっちも好きに使っていいわよ」
「僕の部屋?」
「そうよ。欲しい家具があればすぐに用意するからいつでも言ってね」
「そーだバルド」
声をかけてきたレイを見る
「あとで何か作って見るか?」
「何かって…?」
「昨日言ってたろ?サラサが広めた細工物。バルドが興味あるならだけどな」
「…やってみたい!」
バルドはレイの腕をつかんで言う
「そこの棚にある物から一番興味あるの選べ」
レイは私の細工物や手芸作品が置いてある棚を指して言う
竹細工や木版画、装飾品にぬいぐるみやキルト、刺しゅうなど様々なものが置いてある
「僕これがいい」
「竹細工のオーナメントか。まぁ妥当か?ただし必ず売り物になるとは限らないぞ」
「わかってる」
レイが釘を刺すとバルドはしっかりと頷いた
「じゃぁ材料調達と交渉に行かないとね」
「俺も行くよ。バルドは帰ってくるまで好きにしてろ」
「レイ、ついでに酒買ってきてくれ」
「分かったよ。そのかしシアちゃんと見ててくれよ」
カルムさんの言葉にレイは頷いた
私たちは町の職人通りに向かった
「ランディさんこんにちは」
「おーサラサちゃん元気そうだな?」
「おかげさまで。ランディさんオーナメントの材料ちょっと持って帰ってもいい?」
「もちろんだ。好きなだけ持ってってくれ。俺だけじゃ大量には消費しきれねぇ」
その言葉にレイと顔を見合わせる
「なぁランディ」
「なんだ?」
「もしオーナメントを作るやつがいたら頼むか?」
「そうだなーそんな奴がいるなら1個100G払ってでも作って貰いてーもんだ」
1G=1円なので計算はとても楽だ
「売値500Gだろ?サラサの取り分が確か100Gだよな?」
「うん」
「そんなに出してもいいのか?」
「ああ。もともと破棄してたもんだしな。何でそんな話を?」
「実はね体が弱いけど何かをしたいって子がいるの。冒険者や定職に就くのは難しそうなんだけどこういう細工なら体調のいい時に自分のペースでできるじゃない?」
「なるほどなぁ…けど俺は人に教えるのは無理だぞ?」
「それは大丈夫。私が教えるから。もちろん売り物レベルにならなければ別の方法探すけど」
簡単に説明するとランディさんは少し考えていた
「…そういうことなら俺も助かるな。サラサちゃんがOK出したレベルなら問題もないだろ」
「本当?」
「ああ。上手くできるなら出来上がったの、5つくらいまとめて持ってきてくれりゃその場で金は払う。ちなみに今売り出してるのはこの3種類だ」
ランディさんはそう言って3種類を1つづつ渡してくれる
「とりあえずこのデザインで作ってくれ。慣れてきて新しいデザイン考えてくれるならデザイン1つにつき1000G出そう」
「やけに太っ腹じゃねぇか?」
「俺にはアイデアってもんがないからな…」
「そういう事ならなおさらうまくいくといいなぁ。まぁバルド次第だけど」
「焦る必要はないだろ。とりあえずオーナメント試してみてダメなら別の試せばいい。そうやってバルドに向いてるもん探せばいいだけの事だろ?」
「ま、期待せずに待ってるよ」
ランディさんは笑いながら言う
とりあえずサンプル3種と材料をインベントリにしまって店を出た
「ランディさん意外と喜んでたね?」
「まぁ元々の細工もんが結構手のかかるやつだからな。一人じゃ手が回んねんだろ」
「なるほど。確かに繊細なのいっぱい置いてるもんね」
店内に並んでいた細工物を思い出し妙に納得する
「あとは酒買って終わりでいいのか?」
「お米の残りも少なかったかな」
「じゃぁ酒屋行って商会だな」
「だね」
2人で必要な買い物を済ませて家に戻った
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