35-2
「ところでトータは何で砂に埋まってんだ?」
庭を覗き込んだカルムさんが尋ねる
砂場ではマリクとリアムがトータさんにかけた砂をシアがペチペチと叩いて固めている
「「トータお兄ちゃんおねんね」」
マリクとリアムが嬉しそうに言う
「そうか。ゆっくり休ませてやれよ?」
「「うん」」
「ってカルム?!」
言い捨ててその場を離れたカルムさんを呼び止めるのを見てみんなで笑い出す
「トータさん子供たちの相手してくれてありがと」
「ちょっサラサまで…」
「トータそれ、相当気に入られてるぞ」
「まじ?」
トータさんは心なしか嬉しそうだ
「じゃぁトータさんこの子たちお願いしてもいい?昼ご飯用意するから」
「おう。肉たのむなー」
「はいはい」
相変わらずのリクエストにナターシャさんがあきれたように笑う
「バルドはどうする?」
「料理見ててもいい?」
「いいよ」
「今日は何にするの?」
「生バジルを使ったパスタと香草焼きでもしようか。あとはコンソメスープ」
「サラサ姉ちゃんこれは何?」
「乾燥ハーブ。薬草を何種類か乾燥させて混ぜたもの」
小瓶に入れたそれをバルドが興味深そうに見ている
「鶏肉に下味付けてから乾燥ハーブを混ぜたパン粉をつけて焼く」
「相変わらず手順は少ないのね?」
「そ。手順はね。でも下味付けるのに時間がかかるから今回はエイジングを使っちゃいましょう」
「普通なら?」
「20分~30分くらいかな?鳥じゃなく他の肉や魚でもいけるよ」
「それはまた便利ね」
ナターシャさんは感心したように言う
「すごくいい香り」
「でしょう?これがハーブの楽しいところかな」
小皿に少しだけ乾燥ハーブを入れてバルドの前に置く
「なめても大丈夫よ。そのままじゃおいしくはないと思うけど」
「スープの準備はOKよ。後は煮込むだけ」
ナターシャさんが言う
「じゃぁ私はパスタ作るね。ナターシャさん鶏にパン粉つけてオリーブオイルで焼いて?」
「了解」
「バルドはこのバジルをこれくらいの大きさにちぎってくれる?」
「うん」
どんなものになるのか興味深々のバルドは二つ返事で作業を始めた
「レイ」
「ん?」
「そろそろトータさんの救出お願い」
「了解」
レイは笑いながら庭に出て行った
「カルムもレイを手伝って。あの子たち泥だらけのはずだから」
「あー分かった」
ナターシャさんに言われたカルムさんも庭に出て行った
麺をゆでている間にベーコンを刻んでいると子供たちが部屋の中になだれ込んできた
「ママご飯何?」
「できてからのお楽しみよ。できるまでパパに遊んでもらいなさい」
「「はーい」」
「シアはここでちょっと休憩な」
レイはシアを抱き上げる
「トータどうだった?砂の中」
「あれ意外と気持ちいいな?」
その感想にみんなが笑い出す
そう言えば砂風呂なんてものもあったかなと思い出す
庭の砂ではなかったが
「サラサ姉ちゃんできた」
「ありがと。助かったわ」
「なんだ、バルドも手伝ってるのか?」
トータさんがやってくる
「これちぎってただけだよ?」
「これって常時依頼の薬草じゃねぇの?」
「当たり~これ料理にも使えるのよ」
「どんなもんになるか楽しみだな」
トータさんはバルドの頭をグリグリしながら言った
そうこうしているうちに食事の準備が整う
「みんなできたよ~」
その声でみんなが席に着く
「バルドも空いてる席に座ってね」
そう言うとトータさんの隣に座った
テーブルに所狭しと並べられた料理を見てマリクが真っ先に食べ始める
「とりさん?」
「そうよ。鶏の香草焼き」
「これがバジルか?」
「そう。生バジルをちぎったのを混ぜてる。味付けは塩コショウだけだからサッパリしてるでしょう?」
「ああ。いくらでも食えそ」
「バルドお前食うの遅いから鶏食べる分先に皿に取っとけ」
「わかった」
夜にみんなの勢いを見ている為バルドは素直に従った
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