20-3
◇ ◇ ◇
「ただいまー…ってサラサちゃんどうしたの?」
買物を終えたナターシャが心配そうに覗き込んでくる
「ちょっと休ませてるだけだ。必要なもんそろったのか?」
「ああ。それより家具がえらいことになってるな。休ませてるのはそのせいか?」
マリクを抱き上げたままカルムが入ってくる
「ああ。サラサが作った。マリクそれはお前の椅子だぞー」
レイは丸太の椅子を指して言う
「何、これもサラサが作ったのか?」
「ああ。キッチンの方もマリクの椅子追加してある」
「すげーな。マリク座って見るか?」
ジーっと丸太の椅子を見ていたマリクに尋ねると頷いたので下におろす
マリクは椅子のそばまで近寄るとしばらくいろんな場所に触れてみる
そしてチョコンと座る
「気に入った?」
ナターシャが尋ねるとコクコクと頷く
「よかったね。あとでサラサちゃんにありがとうしようね」
ナターシャは頭をなでながらマリクのそばに座った
「そーだナターシャ」
「何?」
「こいつ無駄に色んな耐性持ってっから注意してやってくんね?」
「どういうこと?」
「多分疲れてもあんま自覚してない」
レイはサラサの髪をなでながら言う
「さっきも平気な顔で飯作ろうとしてたけど横になった途端この状態」
「「…」」
ナターシャとカルムは顔を見合わせる
「分かった。気にかけとくわ」
「助かる」
ナターシャの言葉にレイはほっとしたような顔をした
「…お前本当に変わったな?」
「俺が?」
「ああ。人間らしくなった。今んとこまだサラサに対してだけだけどな」
カルムの言葉に自覚があるのかレイは苦笑して流していた
◇ ◇ ◇
「ん…」
話し声に目を覚ます
「いつの間に?」
「ついさっきよ。サラサちゃん家具ありがとう」
「相変わらずスゲースキルだな?」
ナターシャさんとカルムさんがすぐに声をかけてくる
「何か夢中になっちゃって。レイもありがと」
身体を起こしながらマリクを見る
「あり…がと。これ」
「ふふ…どういたしまして」
笑顔で返してマリクのそばではなくソファに座っている2人を見る
「少し離れても大丈夫になったの?」
「不思議でしょ?ソファに促したけどその椅子が気に入ったみたい」
ナターシャさんはおかしそうに笑いながら言う
「気に入ってくれたならよかった」
その時レイのお腹が鳴った
「「「「…」」」」
皆が無言のままレイを見る
「…腹減ったな。サラサすぐ食えるもん出してくれ」
「わかった。どうしよっか…こっちで食べる?」
「どういうこと?」
「マリクが椅子気に入ってくれてるみたいだし…」
椅子から離れようとしないマリクを見る
「マリク、もう一つマリクの椅子があるんだ」
「?」
マリクはレイを見上げる
「座ってみないか?」
マリクはナターシャさんを見た
「ママも見てみたいから座ってみようか?」
そう言われたマリクは頷いて立ち上がった
「よしこっちだ」
レイはマリクを抱え上げるとそのままダイニングチェアに座らせた
「まぁ…」
「これは…」
ナターシャさんとカルムさんが自然と両隣に座る
「マリク気に入ってくれたかな?」
尋ねてみるとコクコクと頷いた
「ごはん温かいものの方がいいよね…」
インベントリのストックをサムネイルで確認する
「これかな」
ビーフシチューを取り出した
「レイ、シチュー温めなおすからパンとお皿お願い」
「わかった」
レイはパンの入ったかごをテーブルの中央に置き人数分の取り皿を用意した
「シチューはこれでいいのか?」
「うん。ありがと」
深めのお皿を受け取る
「お前ら何飲む?」
「水でいいわ。あとでコーヒー欲しいけど」
「俺も。マリクはどうする?」
「…」
黙り込んでしまった
「…ナターシャさんシチューよそってもらっていい?」
向けられた視線の意味を悟りお願いする
「もちろんよ」
ホッとしたようにナターシャさんは立ち上がる
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