20-2
「ナターシャ今日は買い物でいいんだろ?」
食事がすんだのを見てカルムさんが尋ねた
「うん。マリクのもの色々そろえないと」
「じゃぁ俺らは家の中ちょっといじるか。トータは帰るのか?」
「ああ。今日は寝る」
皆の予定が自然と共有されてトータさんはそのまま帰っていった
弾丸は1日おきに依頼を受ける
依頼を受けない日は休むこともあれば単独で依頼を受けたり迷宮にもぐっていたりと自由に過ごす
「なーにマリクこれ飲みたいの?」
ナターシャさんが飲んでいるミックスジュースのグラスに手を伸ばしていたマリクはコクコクと頷く
「ミックスジュース気に入ったみたい。マリクグラスに入れる?」
尋ねてみるとコクリと頷いたのでグラスに入れて渡すとそのまま飲み始めた
「買物長くなりそうなら魔道具に入れて持っていく?まだいっぱい残ってるから」
「そうね。これなら小腹すいたときにも丁度いいかも」
ナターシャさんが頷く
「じゃぁマリク、このジュースいつでも飲めるように持ってようか」
残っていたミックスジュースを魔道具の水筒に入れて渡すと大事そうに抱えていた
レイは3人が買い物に行く前にカルムさんとナターシャさんを玄関の魔道具に登録した
しばらくとはいえ一緒に住むなら自由に出入りできた方がいいだろう
「ふぅ…」
片づけを済ませてソファで一息つく
「疲れてないか?」
「大丈夫。それよりレイは何するつもりなの?家の中ちょっといじるって」
「俺というよりサラサかな?」
「ん?」
「どうせ家具作るんだろ?」
当たり前のように言われて笑ってごまかす
「運ぶくらいは俺でもできる」
「ありがと」
横に座るレイの肩にもたれかかるとそのまま肩を包み込んでくれる
「どんなのがいいかなぁ?」
「とりあえずキッチンに高めの椅子は必要だろ?」
「うん」
「あとは…このソファもう一個あったほうがいいな」
「そうだね。みんなでくつろぐ時間も増えそうだし…」
皆が集まっているときはリビングで食事をとるが普段はダイニングテーブルでとっている
くつろぐときもソファで座ったり床に寝転がったりと、みな自由にしているがあるに越したことはないだろう
「こっちで食べるときソファを背もたれにできると楽だもんね」
「酒が入ると余計な」
2人顔を見合わせて笑う
「その踏み台くらいの椅子もあったほうがいいよね?」
「水筒抱えたの見る限り『自分のもの』がある方がいいかもなー」
マリクが大事そうに抱え込んでいたのを思い出す
身体を起こすとインベントリから取り出したバインダに紙を挟んで絵を描いていく
「何書いてんだ?」
「ソファはこれと一緒でいいと思うんだけど他はちょっと書いてみたほうが作りやすいかなって」
「なるほど。あ、ここは足かけれた方がよくないか?」
「ほんとだ。じゃぁこっちは…」
2人で色々案を出しながら絵を書き足していく
そして満足できるイメージが完成するとスキルを使って家具をつくり出す
「いい感じだな」
目の前に突然現れたダイニングテーブル用の椅子にレイが感心している
家具を作るための材料は木材をはじめ布や皮までさまざまなものをストックしてある
それらを加工し組み上げイメージしたとおりの形にするまでの『家具製作』というスキルを創ったのは半年ほど前だ
「テーブルの広さは十分だし5人座っても問題ないな。これは間に挟んだ方がいいのか?」
レイはつぶやきながら配置を楽しんでいるようだ
その間にリビング用の椅子をつくり出す
これは絵には起こしていないため私の独断のイメージだ
「お、いいじゃん」
太めの丸太を立ててくり抜いたようなイメージだ
ひじ掛けと背もたれが滑らかなカーブでつながっている
「座る高さはその踏み台に合わせたんだけど…」
「これ俺も欲しいな。もっと太い木で」
「…手持ちはそれが一番太いよ?レイの望みの太さの木を持って帰ってきてくれれば作れると思うけど」
「よし。今度探してくるよ」
ウキウキしているように見える
「あとはソファだね」
それは物質複製のスキルを使えば瞬時に完了だ
目の前にある物質をコピーして同じものを創り出すスキルだ
「何かこういうのいいね」
「?」
「一緒に何かを作り出すのって楽しい」
「じゃぁこれからも色々作るか」
「うん」
自然と頬が緩む
その途端レイに口づけられていた
「レイ?」
「お前のそういう顔いいな」
レイはそう言って笑う
その目がまっすぐこっちを見ていた
いまだにこういう状況には慣れていない
「そろそろお昼の準備…」
「まだいいよ」
逃げようとして失敗する
引き寄せられレイの膝に倒れこんでいた
「このまま少し休め」
レイの手に視界を遮られ少しすると意識が遠のいていった
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