第20話 共同生活
20-1
翌朝レイと私は早くから目が覚めた
「朝ごはん何にしよっか?」
「そーだなー…」
心配性のレイにエスコートされながら階段を下りる
「チビが喜びそーなのがいいよなぁ…」
当たり前のようにマリクの事を考えている
「あれは?ホットケーキ」
「いいかも。あとは…ミックスジュースでも作ってみようかな」
「俺はコーヒーで」
「レイ朝のコーヒー欠かさないもんね」
笑いながら準備を始める
「はよ~」
カルムがマリクを抱き上げたまま起きてきた
「おう」
「おはようございます。マリクもおはよう」
「…おはよ」
少し恥ずかしそうに言う
「ちゃんとご挨拶出来て偉いね。今から朝ごはん作るからちょっと待っててね」
頭をなでて言う
「カルムさんはコーヒーだよね?」
「ああ。頼む」
カルムさんはレイの隣に座って膝の上にマリクを乗せた
私はマリクから見える場所でミックスジュースの準備をする
ジューサーの音にびっくりして一瞬固まったマリクをカルムさんがあやしているのが微笑ましい
「ミックスジュースの出来上がり」
グラスに注いでマリクの前に置くとレイとカルムさんにはコーヒーを出す
そしてマリクの前で私もミックスジュースを口にする
「マリクこれは果物とミルクを混ぜた飲み物だよ。昨日のイチゴミルクより甘くてとろみがあるかな」
そう説明するとチビチビと飲み始めた
カルムさんがそんなマリクの頭をなでていた
私はホットケーキの準備を始める
「カルムさんはマリクと分けっこでいい?」
「ん?ああ」
その意図を悟ってすぐに頷いてくれる
丁度焼きあがってきたタイミングでトータさんが起きてきた
「トータさんおはよ」
「おはよー。サラサ俺もコーヒーくれ」
「ちょっと待ってね」
先にコーヒーを準備してしまう
焼きあがった2枚のホットケーキをお皿に移すとバターを乗せる
レイとカルムさんの前に置いてから次を焼き始めた
「ジャムのせるなら…イチゴとブルーベリー、オレンジ」
一つずつマリクの前に置いていく
「マリクどの味がいい?」
「…」
マリクは黙ったままイチゴを指さした
イチゴミルクと言いイチゴが好きなのだろうか
それとも他の味を知らないだけか…?
カルムさんはイチゴジャムをバターの上に塗り一口サイズに切り分ける
そして先に自分が食べてみる
「やっぱうまいなぁ…ほらマリクも食ってみ?」
小さめのフォークを渡すと少しずつかじる
その後も次々と食べていたので気に入ったのだろう
レイもそれを確認しながら隣で食べ始める
「サラサ、チョコクリームくれ」
次に焼きあがったのをトータさんに出した途端その要求が飛んでくる
もう1枚はカルムさんのお皿にのせている
「マリクもチョコクリーム食ってみるか?」
マリクはトータさんが塗っているのをジーっと見てから頷いた
興味はあるようだ
カルムさんがさっきと同じように一口サイズに切り分けると、マリクはカルムさんが一切れ食べたのを見てから自分も食べ始めた
「サラサ俺ももう1枚」
「ちょっと待ってね」
次々と焼くものの焼きあがったものからすぐになくなっていく
マリクは流石に3種類目には手を出さず残りのミックスジュースを少しずつ飲んでいた
「みんな早くない?」
レイたちが食べ終えソファーでくつろいでいるとようやくナターシャさんが起きてきた
マリクがカルムさんの膝の上からナターシャさんに手を伸ばす
「おはようマリク」
「おはよ」
そう返すマリクをナターシャさんは抱き上げる
「ご挨拶出来て偉いわね。ご飯はもう食べた?」
その問いにコクンとうなずく
「ぱぱ、いっしょ」
「パパと食べたのね?おいしかった?」
再びうなずく
答えが返ってくるごとにナターシャさんはマリクの頭をなでる
「ホットケーキ食べてたんだけどナターシャさんはどうします?」
「私も欲しいわ」
「了解。飲み物はコーヒーかミックスジュースか…」
「ミックスジュースかな。自分で入れるわ」
私がホットケーキを焼き始めたのを見てナターシャさんは自分で準備し始めた
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