第4話

スマホをふと覗く。

そこには大きくニュースが載っていた。

田中の報道ばっかだった。

…見なかったことにした。



巨大モンスター討伐後、連れ去られた人たちを村まで運び届け、話を聞くことにした。

村長が話すには、あのモンスターはゴブリン族というモンスターらしく、ものを盗んだり、稀に人を襲い、さらっていく習性があるという。

そして、助けたお礼をもらった。

お礼は山田人形……ではなく、新しい旅の仲間を推薦してくれた。

新しい旅の仲間の名前はミルというらしい。


「よろしく、ミル」


「………」


「ハハハ…」


どうやら重度の人見知りらしい。

初対面だから仕方はないのかもしれない。

ミルは主に呪力を使う。

呪力っていうのは人形の紙を不可視にして、死者の呪いの力から魔法を出すらしい。怖い。

魔術、呪力、旅の仲間として、もうひとり、魔法を主に使う仲間がほしいところだ。

しかし、そんなに甘くはいかない。

田中がそう言ってた。

僕はミルの手を繋ぎ、詠唱する。


『中級魔術・トーポ・レテ』


この魔法は瞬時に近い範囲に転移する。

転移するところはランダムで、大体シンボルの近くに転移する。

村だったり、建物の近くだったりに。

……たまに洞窟に転移するのが玉に瑕だが。


…転移


転移先は村ではなく、ちょっとした商店街のようなところだった。

知らないものがたくさん売ってあった。

食料、飲料、魔法石やアクセサリーと、様々なものがあった。


ちなみに魔法石とは魔法が込められた石のことで、壊すと魔法が飛び出てくる。石の色によって中身の魔法が違う。


僕は魔法が使えないため、何個か魔法石を購入した。

魔法しか通用しない相手が出てくるかもしれないからな。

各一種類ずつ、赤魔法石炎魔法、青魔法石水魔法、緑魔法石風魔法、黄魔法石雷魔法、黒と白の魔法石闇魔法と光魔法。

合計六種類。

一つ100ピンのため、600ピン。

高い。使いすぎた。

(1ピンは日本円でいう10円です)

ちなみにパンは一つ10ピン。

金にはそんなに困ってはいないのだが、無駄遣いしすぎはだめだ。


目を光らせながら商店街をよちよち歩くミルを見守った。

いつの間にか商店街の出口にたどり着いたので、ミルを連れて商店街を後にした。


ふとした時、スマホを覗いてみたのだが、スマホニュースには田中の炎上報道が殺到していた。

田中ァ、お前何したんだ。

バックが揺れた。揺れたのは田中人形だった。

田中人形は悲しそうな顔をしていた。お前を作った主人は炎上してるよ……。

途端、田中人形は燃え尽きた。


……本人が炎上したら人形も炎上するのか。

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魔力無し!?見習い魔術師のスローライフ 【Rye】らい @Raito1211

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