第2話
ゴツい男性……あとから知ったが、どうやら僕のお父さんだったらしい。
あ、この次元での、ね。
食堂にいた美女はお母さん、部屋に来た人はメイド、知らん人A、B、Cは客人、田中と山田は僕にしか見えてないらしい。
話が逸れた。
あの後、あんぐりと口を開きつづけたお父さんは顎が外れて病院送りになったという。
にしても、僕がこの身体に乗り移る前はこの身体は魔法が使えなかったのか?
じゃあ、何故魔法が使えたのだろうか?
メイドも同様の考えらしく、魔力適性検査を受けることにしたのだが……
結果はやはり「魔力適性無し」。
しかも適性確率0%のため、本当にこの身体には魔力が流れていないのだろう。
次に、呪力適性検査。
結果は…「呪力適性無し」。
またもや適正確率0%のため、呪力もこの身体には流れていないらしい。
次は、魔術適性検査。
え?魔術と魔力は違うのか?
…そうらしい。
魔術は詠唱することによって一時的に魔力を呼び寄せることで使える魔法で、
魔力は直接魔法を撃つときに消費するもの。
どちらがいいというと、負担が少ない魔力のほうがいい。
簡単に言えば、魔力を使うのが魔法、魔力を作り出すのが魔術。
結果は……「魔術適性有り」
どうやら適正確率100%。
そりゃ撃てるわけだわ。
……でも、なんで乗り移る前の身体は魔術を使えなかったんだ?
唱えるだけだろう?前の身体も詠唱はしたはず。考えられる可能性としては、
……突然変異。
生物の変化には必ず突然変異が含まれている。
その例が僕。
以前できないことができるようになるのはこの次元では珍しいことではないらしい。
そして、魔術、魔力、呪力、この中一つに偏りが起こる事例は極稀。
少なくとも、2、3割はどれかに含まれる。
僕の場合は魔術だけに偏りが起こっている。
これを知られた途端、僕の屋敷には新聞会社のレポーターなどが殺到した。
魔術100%とは本当ですか、ってね。
まぁ、全員山田が追い出してくれるから苦労はしないけど。
あ、焼いちゃった田中には謝ったよ、しっかりとね。
僕はその後、スキル審査、ステータス開示検査、そして守護霊検査。
スキル審査結果……スキル無し
ステータス……平均的(魔術力だけは飛び抜けて高い)
守護霊……オーディン
オーディンといえばこの次元の魔術師最強の存在だったらしい。
……見たことないから知らないが。
山田がオーディンの本を見つけてくれたが内容はさっぱり入ってこなかった。
ただ、オーディンは魔術適性確率が99%だったらしい。
勝った、と誇ったが、どうやらオーディンは魔力も呪力も0%、つまり、残り1%がどこにあるのかが発見されていないようだ。
ただ、僕にはその1%がなんとなくだが分かった。
…その1%は、「力」。
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