第22話
「「あっ…」」
壁新聞委員の会議が終わりビブリオバトルのしている図書室へ行こうとするとバッタリ桃江と鉢合わせた。
「あんたの常識、いくら考えてもわかんないんだけど?」
唐突にそう言った私に驚きもせず桃江は淡々と答える。
「わかってもらわなくてもいいわ。私の常識は私しか分からないもの。あんたになんかにわかんないわよ。流星っていうマジで好きなやつがいるんでしょ?」
その言葉に滲み出る孤独に私は気づかなかった。
「あんた、マジで人を好きになったことってないわけ?人を好きになったら1日で好きな人が変わったりそうそうするもんじゃないでしょ?」
「ほっといてよ…」
「それだけじゃない。ライバルの女子たちを蹴落とすように追い討ちかけたりしてるでしょ?」
「ほっといてっ‼︎」
驚いて桃江を見る。
「どーせ、私は人を好きになれないのよ!」
「それってどういう…」
「私は人を心から愛せないの!いいなって思うことはあっても、この人のことが本当に好きって思えないっ!みんなと同じように人を愛することができない!あんたたちみたいに、恋愛でどーのこーのいってる人なんて大嫌いだわっ‼︎嫌いなのにっ、私の外見でみんなが彼氏持ちって勘違いしたり、恋愛相談してきたり、うんざりよ‼︎」
「桃江…」
私の声にハッとしたように桃江は顔を上げる。
「…今の、忘れて…」
「忘れられない。」
「忘れてよ!」
そのまま去ろうとする桃江の肩を掴み思いっきり体をこっちに向けさせる。
「別に、恋愛なんてそこまで重要じゃないと思う。少なくとも好きじゃない人に告るのはおかしいよ。」
「でもそれじゃあ私は…」
「友達になろうっ!」
「は?…断るわ」
こいつ頭大丈夫か?的な目で私を桃江は睨んでくる。
「恋愛がなくても、友がいれば人生なんとかなるっしょ!桃江、あんたには仲間が足りないのよ。」
「私と友達になってもいいことは一つもないわよ。」
いつも自信満々なのになんでこういう時だけ悲観的かなぁ?
「いいことがあるから友達になるんじゃない。好きだから友達になるんだよ!」
「別に私はあんたのこと好きじゃ…」
「これから好きになればいい!私は友達になってやるから!」
桃江の肩から手を離して片方の手を前に差し出した。
「はい、友達の握手!」
「バッカじゃないの…」
そう言いながらも桃江はその手を握ってくれた。
桃江、あんたのことそこまで好きじゃないけど、なんとなくいい友達になれる気がするよ。
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