第13話
参加者の人数を数えた結果全員で9人の人が出ることになった。
「よかった。9人もいたんだね。」
「私はそのくらい出てくれると思ってたよぉ〜!」
えっ、みんなそう思ってたのかな?
見回したがみんなの表情からは何も読み取れない。
「あと、俺たちがやることってあるの?」
「えっと…特にないかも?」
私はビブリオバトルをやるための脳内シュミレーションを行う。
「あ、観客に来てもらうために呼びかけと、ビブリオバトルを行う人に説明した方がいいかも。」
「じゃあ、いつもと同じ二人づつでいいか?」
いつもと同じ…ってことは彼方とっ⁉︎
「待ってぇ〜!私、彩乃ちゃんと仲良くなりたいのぉ!彩乃ちゃんと一緒に観客へ呼びかけしちゃダメ?」
わ、私と⁉︎
驚きだ。彼方くんとやりたいって言うと思ったのに…。
「彩乃ちゃん、一緒にやろ?」
「う、うん…別にいいけど…」
「けど?けど何?」
驚きですっ‼︎
「う、ううん、なんでもない。よろしくね。」
「うん!よろしくぅ〜!じゃあさ、明日の昼に放送してもらうように先生に聞いてみるね!じゃ」
そのまま行こうとする桃江さんを急いで呼び止める。
「ま、待って!私が先生に言ってくるよ。」
「大丈夫!じゃあまた明日のお昼!」
そう言うと走って図書室から出て行った。
「俺たちは俺たちでやるから放送のほう、よろしくな」
「うん…」
いまだ拭いきれない違和感を感じながらこの日の会議は終わった。
「桃江さん、いますか?」
「うん、いるよ!呼んできますね。」
ドアの近くにいた生徒に聞いて桃江さんを呼んでもらう。少しして教室で給食を食べていた桃江さんがこっちに向かってきた。
「じゃあ、放送室向かおっか!」
フフッと笑う桃江さんに不気味さを感じながらもうなずく。
なんか、怖いんですけど…。
少し歩いて周りに人がいなくなった瞬間桃江さんはクルリと振り返った。
「な、何?」
「そんな緊張しなくてもいいわよ。」
いやいや、緊張しますって!
「彼方のこと邪魔しないでくれない?ま、もうすぐ決着つけるつもりだけど。これだけ言いたくてあなたと一緒に放送することにしたんだから感謝しなさいよね。フライングは悪いと思って言ってあげたんだから。」
け、決着?決着って戦うってこと?なにで?
疑問だらけだ。そんな私を無視して桃江さんは歩き出した。
「待って!決着って何?」
長いゆるふわ髪をサッと払いながら桃江さんは振り向く。
「もちろん、恋の決着。」
不敵に笑った桃江さんはとにかくやっぱり不気味だった。
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