第3話
「で、つまりどういうこと!彩乃がみんなのいる教室で話すのは嫌だって言うからお昼まで待ったんだから!早く言って!」
屋上でそんなに大声を出したら、下に聞こえると思うけど…。
でも、この親友の気持ちも分からなくはない。立場が逆だったら似たような反応をするだろう。
「実は昨日ね、ある副委員の男子に助けてもらったの。あったのは顔合わせ以来の2回目なのにね。」
「図書委員の副委員長って、どっちに恋しても大変だと思うけど?ていうか、片方は私の彼氏だし。」
は?
「待って待って!彼氏って初めて聞いたよ⁉︎」
「あっ…」
急いで口を隠しても無駄だ。私は聞いてしまった。
「実は付き合ってるのを彼が言わないでって言ってて…」
「名前は?」
「く、黒田流星…。彩乃の人と違う?」
私はホッとして肩を下ろしながら頷いた。するとさなも肩を下ろした。
「一旦一安心だね。彼に、言っちゃったって話すのが少し怖いけど。」
「私、誰にも言わないからそこだけは安心してって伝えといて。」
「りょ」
それにしても…と、さなは続ける。
「多分彩乃が恋したのは赤星彼方だよね。結構なイケメンだよねぇ…」
「?イケメン…だったっけ?ごめん、顔覚えてない。」
「好きな人なのに⁉︎」
だって2回しか会ったことないし、すぐに覚えられるわけがない。ぼんやりとだけ思い出せそうで思い出せないって感じだ。
「呆れた。まぁ、流星に言って少し手伝ってもらおっか?」
「ううん、大丈夫。自分でなんとかするよ」
「そっか。まぁ、情報網だけは私は役に立つからなんかあったら言ってよ。」
そんな親友を頼もしく思いながら私は頷いた。
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