元・勇者、ハローワークを目指す!③

 僕は、タクシーを使って『ハローワーク』へと降り立つ



 そして、財布の中から1万円札を抜き取り、恰好つけて運転手へ渡す



「ありがとう、助かったよ。これは、お礼だから。おつりは要らないよ」


「げへへ、いいのかい? 兄ちゃん、メーターだと 2,500円 なんだぜ?」



 僕は、親切な運転手からの おつりを断り、言ってやった



「ここから、僕の冒険が始まるんだッ!」



 ◇



 『ハローワーク』へ入ろうとすると、後ろから声を掛けられた



 振り向くと、ふたりの男性が手招きをしていた



「こっち、こっち」と目の下にクマがある、小太り中年男性が話しかけてくる



「敷地内だと、アレだから。ちょっとここまで来てくれるかな?


 いぃ、仕事を紹介するよ」



「良い仕事」というワードに釣られて、僕はハローワークの敷地内を出て、

オジサン達の所まで歩み寄った


 すると、


 その手招きに釣られて、あとから僕と同じ年齢くらいの男性が隣にやってきた



「どんな仕事ですか?」


 (ここは、単純に乗らない方が良いな。勇者のカンだけど)



「単純作業だよ。ちょっと残業がアレだけど、楽しい職場だよ」




「ほんとですか?」

 

――と、後から来た男性が、嬉しそうに責付せっついてきた




 (チッ、これだから初心者は、舐められるんだよ)と毒づいていたら、


「おっと。ついでだ、お前も付き合え!」、と誘われ・・・




『神代學園幻光録-ク〇・ヌ・ギ・ア-』で、有名な台詞せりふキター!



 まさか。


建物に入る前に、『ハローワーク』の人に仕事を紹介してもらえるなんて・・・



 これは、勇者特典ですね。神様!



僕は、ヌルゲーあるあるの「初期パーティー」を選択し、

オジサンに渡された書面に、名前を書き込んでやった




 ―― ヌギャー ――




つづく

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