第2話白霊姫は仕事する
「オリビア、起きろ〜」
「ん、んん〜…ルーくん?」
「あぁ、そうだよ、俺だよ!」
目を覚ますと見慣れた天井と見慣れた精霊が視界に映る。
「あれ?私、昨日パーティー行って…」
「ぶっ倒れてあの黒髪に担がれてアースんとこまで送られたんだよ。」
黒髪?…あぁ、あの夢の中のイケメンの…。
「って、夢じゃない‼︎」
「後でアースにお礼言っとけよ〜。そんなことより、あの黒髪怪しいぜ?」
「怪しい?まぁ、たしかに私みたいなのに友達になってくださいって言うくらいだし何か裏があるのかも。…って今何時⁉︎」
ルーくんはチラリと時計を見て言う。
「もうすぐ9時だぜ?」
「大変だわ!遅刻してしまうわよ!」
パパッと着替えを始めるとルーくんは空気を読んで部屋から出て行く。精霊とはいえ一応男子だもんね。ルーくんはほとんどの人には見えない。でも私にとって1番の相談相手であり、親友だ。ルーくんを見送ると私は着替えるためいつも通りヴェールを引っ張ってみたが、やはりとれない。はぁ…お風呂場に入った時はすっぽり取れるのに…気がきくのはそこだけか。
朝ごはんを食べるためにリビングルームにいくとお父様とアースお兄様、そしてメイドのアンがいた。
「オリビア様、起きたのですね!」
「えぇ、アン。お父様にもお兄様にもご迷惑をおかけして申し訳ありません…」
アースお兄様はニコニコと微笑むと、隣の椅子をひく。
「いや、大丈夫だ。元気そうでよかったよ。一緒にご飯を食べよう」
楽しい朝食の時間が終わると私は仕事場に向かった。
私がいつも通り仕事場所に着くと色々な人がやってくる。
最初にやってきたのは猟師の人だ。
「いっつもごめんな。」
「いえいえ、大丈夫です。いつも危ない動物たちから守ってくださりありがとうございます。」
どうやら今日は猪にやられたらしい。この猟師さんは猟師とは名ばかりの心優しい人だ。例え動物が襲ってきても撃つことはせず、いつも保護して人里から離れたところに離してくれるのだ。
私は怪我をしている手に手のひらをかざして回復魔法を使う。
「ふぅ…治りましたね。」
「あぁ、ほんといつもありがとな!困ったことがあれば言えよ!俺らが守ってやる!」
「ありがとうございます。」
その後もたびたび来る患者を治していく。私の仕事は休日にここへくる患者を治すこと。せっかく回復魔法が得意なのだし、色んな人の病気や怪我を治そうと思い始めたこの仕事は今では私にとっては人と繋がれるかけがえのないものになっている。
「そろそろご飯の時間よね〜」
「そうだな。俺はもうお腹が空いたんだが…今日の昼飯はなんだ?」
ルーくんはお腹をさすりながら私の鞄を探る。
「聖女様!助けてください!」
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