第101話 迷惑をかけないようにしていたが実は、その行動が迷惑をかける原因だった
これは昨日の放課後……。
私、濱野一華は、入学式から仲のいい美琴ちゃんから相談事があると言われた。
「相談事? もちろん聞くよ」
私は、そう言って相談を受けた。
「ありがとう。えっとね、最近私……」
そう言って美琴ちゃんが私に話してくれたとき私は、呼び出された。
「濱野さん、先生が呼んでたよ~」
「えっ? ほんと?」
「うん、今すぐ来てって」
「わかった、教えてくれてありがと。あっ、ごめんね美琴ちゃん……また後で聞いてもいい?」
私は、急遽この場を離れないといけなくなり美琴ちゃんに謝る。
「あっ、えっと……うん。わかったよ」
「ほんとごめんっ! すぐ帰ってくるから!」
私は、そう言って立ち去った。
用事が済み美琴ちゃんの相談を改めて聞こうと
戻ってきた。
「あれ? いない……」
さっきまでいた美琴ちゃんは、もう教室にはいなかった。先に帰ったかもしれないと思い私は、寮へ帰ることにした。
もしかしたら美琴ちゃんも何か用事が出来たのかも知れないと思い、念のため美琴ちゃんには、メールで今日は帰るねと連絡した。
そして今日、私は知った……。
美琴ちゃんの相談事は、最近ストーカーにつけられているから私と一緒に帰りたいというものだった。けど、私が呼び出されていなくなった隙に美琴ちゃんは、そのストーカーから被害を受けたらしい。
もしあの場に私が居て、一緒に帰ったらそんなことにはならなかった……。
美琴ちゃんには、一度困ったことがあれば助けると言ったことがある。
なのに助けることが出来なかった。
───────────
「なるほどね……。何があったのかは、代々わ
かったわ。けど、話を聞く限り私は、濱野さんは何も悪くないと思うわ」
近藤は、誰よりも先に話を聞いた感想を述べる。
「悪いよ……だって、私があの時あの場所にいたら美琴ちゃんは、嫌な目にはあってなかったんだよ?」
濱野は、そう言って下を向く。
「濱野は、呼び出されてその場を離れたからその場にいられなかったことは、しょうがないだろ。濱野のせいじゃない、自分を勝手に追い詰めるな」
「平坂君……で、でも」
濱野が、何かいいかけたそのとき、武内が口を開いた。
「濱野、今回の件は、過去と一緒にするべきじゃない」
「えっ、どういうこと?」
唯一過去を話した武内が言ったことに濱野は、首をかしげる。
「今の濱野は、昔のことを気にしすぎだ。昔のことは、一旦忘れろ。今は、過去より自分のチームを心配したらどうだ?」
「自分のチーム……」
濱野は、目の前にいる平坂を見た。
「正直に言いますと一華さん……あなたは、今、回りが見えてません。平坂君や他のチームメイト……あなたのことを心配しているというのにあなたは気付いていない」
千佳は、濱野に向かってハッキリと事実を突きつけた。
「そうだったの?」
濱野は、平坂に尋ねる。
「あぁ、オレ達は、ずっと濱野を心配していた。濱野から話してくれるのをずっと待っていた……無理やり聞くのもあれだと思ってな……」
「私、みんなに迷惑かけてたんだ……。相談することが迷惑だと思ってたけど、相談しない方が迷惑かけちゃったんだね」
濱野は、自分の間違いに気付き悔やんだ。
「気付いたのならまずは、チームメイトに謝らないとな」
「うん、そうだね。みんなも私の話を聞いてくれてありがとう」
濱野は、この場で話を聞いていたオレ達にお礼を言う。
これで濱野は、前に進めるな……。
───────────
濱野達から別れた後、オレと近藤は、図書館へ向かった。
「ねぇ、大山君」
「ん? なんだ?」
「あなた本当は、図書館へ行きたいなんて思ってないでしょ?」
「……なんでそう思うんだ?」
オレは、目線をそらし話す。
「2組で何か起こっている……あなたは、それを廊下に出る前から知っていて、その起こった出来事を私に見せるためにわざと私を図書館へ行こうと誘ったんでしょ?」
近藤も成長したんだな……。
オレの嘘も近藤には、通じなくなってきたかもしれない。
「近藤、変な妄想はよせ。オレは、普通に近藤を図書館へ誘っただけだ。何も企んでない」
「あなたのこと、よくわからないわ。何考えてるの?」
近藤は、鋭い目線でオレのことをみた。
「何も考えてない。さっ、行くぞ」
オレは、無理やり話を中断させ近藤の背中を押した。
「ちょ、押さないでよ」
近藤は、勘が鋭いときがある……。
注意しないとな。
──────────
午後8時、オレは、メール内容を確認し、学年チャットを送信した。
「よし……こんなもんでいいか」
さて……上手くいくだろうか。
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