第24話 椎名との協力関係
自分の部屋に着くとすぐにオレは、ベッドへと倒れこんだ。すると、スマホが振動したのでスマホを手に取る。スマホの画面を見ると椎名からの電話だった。
「どうした? 椎名」
オレは電話をとり、尋ねる。
「今、チーム順位を見たのだけれど。私達の順位が14位へ上がっていたわ」
「ほんとか……それは、いいことだな。この調子で頑張ろうな」
「何その言い方。やる気のない言葉だけど……」
「お前がそう聞こえたのならオレは、感情をこめる練習をしないとな」
「はぁ……雑談するの止めない? 大山君と話してると突っ込みどころが多くて大変だから」
オレ、変なこと言ったか?
「大山君、少し話したいことがあるの」
「一応聞いてやる」
「大山くんと始めて会った時、私の姉の話を少ししたわよね?」
「あぁ、してたな……」
「姉は、この学校の生徒だった。けど、卒業後帰ってくるはずだったのに姉は、帰ってこなかった。その理由を知るため私は、この学校に入学したの」
「その姉は、どういう人だ?」
「私より賢い人よ。チーム順位は、いつも1位で卒業までずっとチーム順位1位をキープしていた」
「すごいな……」
オレは、そう言って話を聞く。なぜ、この話をオレにするのだろうか。
「卒業前日までメールでやり取りをしていた姉が急にメールを返してくれないし、学校に姉のことを聞いても取り合ってくれなかった。これっておかしくない?」
そうだなとしかオレは言えない。本当のことを言うわけにもいかないからな。
「お姉さんは、まだ帰ってきてないのか?」
「えぇ、あれからずっと音信不通よ」
「で、椎名はこの学校に何かあると思っているのか? 例えば学校側が生徒を誘拐とか」
「あり得るわね……」
「そうか。椎名、オレにこの話をした理由を聞かせてくれ」
オレは、一番気になったことを尋ねた。
「あなたが理事長の息子だからよ。理事長の息子ならこの学校のことを少しは知っているんじゃないかと思ったの。だから、あのとき、声をかけたの」
なるほどな……。だが、そんな簡単に話すことはできない。
「オレが理事長の息子だということは、認める。だが、オレは椎名には何も教えられない。オレも知らないからな」
「やっと、息子だと認めたのね……」
「椎名には隠しきれそうにないと思ったからな」
オレがそう言うと椎名は、電話越しに笑った。
「諦めたってこと?」
「そうだな。椎名、オレは何も教えられないが協力することはできる」
「協力してくれるの?」
「あぁ、少しなら。オレが役に立てるかはわからないが……」
椎名がオレを信用しているかわからないが、椎名が勝手に行動されると困るからな。ここは、協力して椎名の行動を把握できるようにしておこう。
「じゃあ、お願いするわ。あなたのことは、信用しているし」
「わかった。協力方法は、気づいたことの情報共有でいいか?」
「えぇ、それでいいわ。助かる……じゃあ、また明日」
「あぁ、またな」
そう言ってオレは電話を切った。 こうして、オレは椎名と協力関係を結んだ。
──────────
午後11時、オレは、寝ようとしたがなかなか寝れずにいたので、テラスのようなところへ外の空気に触れに行った。
すると誰かの話し声が聞こえオレは、足を止めて壁に隠れた。あれは、三条と豊田、加藤だな。こんな遅くに何を話しているのだろうか。オレは、スマホの電源をつけた。
「ねぇ、三条。あんた私を捨てる気?」
豊田は、腕を組み、三条を睨み付ける。
「その話、前にもしただろ? オレは、必要ないと思ったらチームからはずすと」
「……でも」
「お前、もしや藤村と村島のことが可愛そうだといいたいのか?」
「別にそんなこと言ってない」
豊田は、焦るように三条に言う。
「怖いんだろ? 三条に捨てられることが」
加藤は、豊田にそう言って笑う。
「なっ、あんた、何言ってんのよ」
「落ち着け豊田。オレは、お前を気に入っている。簡単にチームから抜けてもらうわけにはいかない」
「別に私、あんたのお気に入りになりたいなんて一つも思ってないから」
「それは残念だ。で、さっきの話しにそろそろ戻すぞ」
三条がそう言うと豊田と加藤は、黙った。
「今日、雨野が藤村と村島に接触していた。藤村と村島に聞いたところチームへの心配をされたそうだ」
「まじですか。それって、オレらのしようとしてることを雨野さんは、知っていると」
加藤は、心配そうな顔をしていたが三条は、表情を変えなかった。
「そうかもな。作戦を雨野に潰される可能性があるってことだ」
「三条は黙って作戦を潰されるのを待つの?」
「そんなわけないだろ豊田。藤村と村島に嘘を雨野に伝えるよう頼むんだ」
「へぇ~。けど、雨野さんって嘘を信じるような人じゃないと思うけど」
「そんなこと知ってるさ。けど、これでいいんだよ」
「まぁ、あんたがそう言うなら心配はなさそうね」
豊田は、そう言って組んでいた手を離す。
「話しは終わりだ」
三条がそう言うと豊田と加藤は、お互い立ち去って行った。
すごいことを聞いてしまった。オレは、部屋に戻った後、一件のメールを一人に送り、部屋の電源を消して寝ることにした。
──────────
同時刻、雨野は、送られたメールを確認していた。
「ふふっ、本当に面白いことをしますね。あなたも……そして、三条君も」
雨野に届いたものは、宛先不明の何かの録音だった。
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