第17話 体育祭練習

 男子100m走と男女混合リレーか。オレ達のクラスは、昨日のうちに出る競技が決まった。決め方は、自分が出たいと思うものを早いもの順で決めていった。


 オレは、特にやりたいものもなく、あまりものの競技となった。それが男子100m走と男女混合リレーだ。


 体育祭という行事まであと一週間ということで体育の授業が体育祭の競技練習へと変わった。


「大山、リレーの練習しようぜ」


 江川に後ろから肩をガシッとつかまれた。


「遠慮しておく」


「まさかお前本番まで一回も練習しないつもりか?」


 あぁ、その通りだ……と言いたいがここは、少しぐらい練習しておこう。


「わかった。練習しよう」


 めんどくさいがやるか。オレは、江川と一緒にスタートラインに向かった。


東出とうで、オレと大山、一周走るからタイム計ってくれ!」


 江川は、クラスメイトの東出に頼んだ。


「おーいいぜ」


 オレと江川は、スタートラインに着き走る準備をする。


「じゃあ、いくぞ。位置について、よーい、ドン!」



──────────



「えっーと江川が57秒56で大山が58秒46」


 タイムを計ってくれた東出はオレと江川にタイムを伝えた。


「大山、速いな。走るの得意か?」


「まぁ、そうかもな……」


 今まで走るのが得意なんて思ったことはないが早いなら得意と言ってもいいだろう。


「へぇ~本番も期待してるぜ」


 江川は、そう言って他の競技の練習へと向かって行った。


「あなたが運動が得意とは知らなかったわ」


 急にオレの隣に現れた近藤は、言う。


「聞かれなかったからな。けど、よかったな。チームメイトの得意なことが知れて」


「別に大山君が何が得意かなんて興味ないんだけど」


 そんなきっぱり言われると、悲しいな。


「オレは、近藤に興味あるぞ」


「わ、私に!?」


 近藤は、顔が真っ赤になっていた。


「近藤ともっと仲良くなりたいからな」


「わ、私と仲良くなってもいいことなんてないわよ」


 おそらく近藤は、自分の性格を気にしているのだろうな。


「そんなことどうでもいいだろ。近藤、自分のダメなところを知っているならそれを変えろ。急に変えることができないなら少しずつ変えていく。オレも協力するから」 


「大山君、あなたどうして私にそこまで……」


 近藤は、今まで見たことのない表情をした。


「オレの初めての友達だからな。友達に手を貸すのは当然だろ」


「あ、ありがとう……」


 友達ということに何も言わなかった。

 つまり、近藤もオレを友達と思って……。


「待って……私は、いつどこであなたと友達になったの?」


 思ってなかったか。


「入学式のときに……」


「何? 私は、覚えてないわ」


 冷たい近藤の言葉を聞き少し落ち込んでいるオレと近藤の間に北原が来た。


「大山君、彩沙ちゃん、2人で何話してるの?」


「体育祭の話だ」


「そうなんだ。そういえば大山君って男女混合リレーに出るんだよね?」


「あぁ、そうだ」


「私、噂で聞いたんだけど、男女混合リレーにはスポーツが得意な松原楓君が出るらしいよ」


 松原か……。そういえば雨野がこの前スポーツが得意と言っていたな。


「そうなんだ……」


「でも、さっき大山君が走ってるところ見てたけどもしかしたら勝てるかもしれないね」


「勝てたらいいな」


 オレは、勝敗には興味がないがここは、適当に言っておこう。



───────────



 はぁ~疲れた。放課後、オレは、一人教室で机に突っ伏していた。


「大山君、帰らないの?」


 聞き覚えのある声がオレの近くで聞こえた。


「北原か……。もう少ししたら帰るよ」


 うつ伏せになったままオレは、答えた。


「そっか。じゃあ、私も少しだけ大山君といようかな」


 北原は、そう言って前の席の人のイスをかりて座った。


「大山君って彩紗ちゃんのことが好きなの?」


「唐突だな……」


「2人のこと見てたらそうかなって思って」


「近藤のことは友達としかみていない。それにオレは、恋愛には興味ない」


「へぇ~そうなんだ。好きなタイプとかいないの? 例えば真面目な人とか」


「真面目な人は、好きだけど、恋愛感情にはならないな。好きといえば、優しくて責任感のある人だな」


「なるほど~。大山君らしい答えだね」


「次は北原が答える番だ。北原は、好きな奴はいるのか?」


 オレがそう聞くと北原は、少し驚いていた。


「わ、私は……いる……かな」


「同じクラスの人か?」


「う、うん……私、その人と話しているときが一番自分らしくいられるから」


 自分らしく……か。


「大山君、良かったら一緒に帰ろうよ」


「あぁ、寮までな」




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