第15話 秘密を知ったからには
放課後、オレは図書館へ訪れていた。本を借りるわけじゃないが少し読書でもしていこう。
「探偵ものか……」
オレは、一冊の本を手に取り、本をペラペラとめくった。すると、後ろから声をかけられた。
「それ、面白いですよ」
急に後ろから声がしたのでオレは、驚いた。
「雨野か……」
「こんにちは、大山君。本が好きなんですね」
「まぁ、読書は好きだからな」
「なるほど。昔知り合った子も大山君のようにそういう感じの本を良く読んでいました」
雨野は、楽しそうに昔の話をする。
「雨野は、本を借りに来たのか?」
「はい。暇潰しに本でも読もうかと思いまして」
暇潰しに……か。
「テスト前だが、本なんか読んでいて大丈夫か?」
オレがいうのもなんだが……。
「もしかして心配してくれているんですか?それなら大丈夫です。高校卒業レベルまでなら心配ありません」
「相当な自信家だな」
「そうかもしれませんね。ですが、私の学力じゃ大山君には勝てません」
一体、オレの何を知ってその発言をしているんだろうか。
「雨野は、オレの何を知っている?」
「そうですね……『フォースプロミス』と何かしら関係があったことを知って───!!お、大山君……?」
オレは、雨野の後ろにある壁に右手をつき雨野の顔をのぞきこむ。
「それをどこで知ったんだ?」
「もしかして私は、今さっき知られたくないあなたの秘密を口にしてましたか?」
雨野は、オレの表情から察した。
「あぁ、どこで知ったことか知らないがお前は、余計なことを知ってしまった」
「そうですか……。では、秘密を知ってしまった私を今すぐ退学させますか?」
「いや、そこまではしない。秘密を口外しないことを約束してくれるだけでいい」
「約束……それは、口約束ですか?」
「あぁ、口約束でいい。だが、もしも約束を破ったら雨野には自主退学をしてもらう。自主退学しなかったらその時は、オレが雨野を退学させる」
オレがそう言うと雨野は、笑うところではないがクスッと笑った。
「わかりました。大山君の秘密は、誰にも言いません。一つ言い忘れていましたが私は、あなたの秘密を誰かに言うことを全く望んでいません。大山君の秘密は、私だけが知っていればそれでいいのですから」
まるで誰にも取られたくないような言い方をしてきた。おかしな発言だな。
「まぁ、口外しなければ何でもいい。じゃあ、またな雨野」
オレは、先ほど手に取った本を持って雨野と別れるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます