第14話 オリエンテーション

 オリエンテーション当日。4時になりゲームは、スタートしていた。オレと近藤と北原は、3組の教室で待機していた。


「問題は、どこの場所であるか……」


 ゲーム開始直後に学校から送られてきたメールには、今回のゲームの問題が書かれていた。問題からしてヒントがないと解けないようだ。


「ヒントがメールで送れてくるまで待機か……」


 オレは、スマホを机に出してチームチャットを開いた。ゲームが始まってから5分経過した。さすがに簡単にはヒントは、見つからないか。そう思っているとチームチャットから1件のメッセージが来た。


「近藤、椎名からだ」


「なんて?」


「学校にある……だってさ」


「ヒントがかなりないと困るわね」


 この学校は、教室の数が多いため絞るのにはかなり難しい。その後、江川と椎名、山野からいくつかのヒントが送られてきた。ヒントといっても謎解きのようなものあり、謎解きは、三人で協力して解いた。


──────────


 5時過ぎ、山野からヒントが送られてきた。


メッセージには『何かを下に敷かなくても気にせず座れる』と書いていた。


「下に敷かなくても座れる場所……教室は、座る気になれないわね」


 近藤は、今いる教室の床を見た。 


「だな。なら、体育館とかか?」


 オレがそう言うと近藤は、そうかもねと言う。


「あっ、江川君からも来たよ。『和』を感じられるだってさ」


「『和』? じゃあ、体育館は、違うわね」


『和』か……。確かに昨日、そんな部屋を見たような。


「近藤、答えがわかった」


「本当に?」


「あぁ、これまでのヒントからしてこの場所しかありえない」


───────────


「まさかこの学校に和室がある場所があるなんて……」


 夜7時、オリエンテーション終了後にオレと近藤は、寮の近くにあるベンチに座っていた。


「オレも知らなかった。この前偶然通りかかったんだ」


「そうなのね」


 オレ達の順位は、結果15位で得点は、貰えなかった。だが、協力して頑張るのは、オレにとっては少し楽しかった。一人で何かを成し遂げるより誰かと何かを成し遂げた方が達成感があるな。

昔の自分とは真逆のことをしているようで初めての学校生活は悪くないなと思うのだった。


─────────


「ふぁ~……ねむ」


 オレは、大きなあくびをし教室に入った。


「大きなあくびね。寝不足かしら?」


 自分の席につくと隣から近藤が尋ねてきた。


「まぁな。少し調べてて」


「調べる? 何を?」


「何でもいいだろ。少し寝かせてくれ」


 オレは、そう言って机に突っ伏した。


「ちょっと、もうすぐ授業よ」


 近藤は、そう言ってオレの腕をつねった。


「もうちょい力の加減を……」


「大山君、今日から勉強会を開くけどあなたはどうするの?」

 

 勉強会か……。期末考査まであと2週間。そろそろ勉強し始めないといけないのか。


「暇な時だけ参加する」


「そう……私としては、毎日来てほしいわ」


 中間考査で10位に入ったというのに勉強会に誘われる。近藤一人じゃ大変だから教える側を増やしたいのか?


「そうか。なら、毎日行くとしよう。スケジュールを教えてくれ」


「えっ?何で急に考えが変わったの?」


「別にいいだろ」


「なにそれ……」

 

 近藤は、そう言いつつ凄い嬉しそうな表情だった。






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