第2話 入学式
「皆さん、初めまして。この1年3組を担任の
そう言った浅間先生は、教室を出て、先に体育館へと向かった。
クラスメイトは、体育館へ向かうため教室を出ていく。
「近藤、一緒に体育館へ行かないか?」
「イヤよ。なんで、あなたと……」
「チームメイトとして仲良くしたいから。それと、今後どうやってメンバーを集めるか話しておきたい」
しばらく考え、近藤は、頷いた。
「わかったわ。一緒に行きましょ」
***
「あと4人、どうするつもりなの?」
「どうするって……もしかして近藤は、全部オレに任せる気か?」
そう聞くと、彼女は違うの?と言いたげな表情をしていた。
「拒否する。オレは、人を誘えるような能力はない」
「私もよ。ダメねこのチーム……」
この様子だと、即チーム解散かもしれないな。
「まぁ、2人で頑張るしかないな」
「そうね………」
体育館へ着くとすでに何人かの生徒が集まっていた。
「240人……ここから1チーム6人となると全部で40チームできる。敵は多いわね」
近藤は、体育館を見渡し呟いた。
ここにいる人が全員チームを組むとは限らないと思うが……。1年生全員が体育館へ集まってから数分後、入学式は、始まった。
「皆さん、入学おめでとうございます。理事長の
理事長は、そう言って話を続ける。
団結か……。本当にそんなことが必要あるのだろうか。卒業のことを想像するだけで怖い。
「この学校は、全寮制です。新入生皆さんがより良い生活ができるよう私達、先生もサポートしていきたいと思います。では、以上で私からの話は終わります」
***
「理事長の大山寛太……。ねぇ、大山君」
「ん? なんだ?」
入学式が終わり、ほとんどの生徒が寮へ帰る中、オレと近藤は、チームへの勧誘のため、教室に戻ることにした。
「理事長の名字が大山なんだけど、もしかしてあなた……」
やはりその質問が来るか。
「オレと理事長は、赤の他人だ」
「本当?」
近藤は、納得していなかった。
「あぁ、本当だ。それより、チームへの勧誘をしにいかないか?」
オレは、しつこく聞いてきそうな近藤を無視して話題を変える。
「あなた、話題をそらすの下手ね。まぁ、いいわ。……で、何かいい勧誘方法はあるの?」
「そうだな……」
オレは、何かいい方法がないか考えようとした瞬間、後ろから誰かがトントンと肩を優しく叩いてきた。後ろを振り返るとそこには、セミロングの髪の女子生徒がいた。
「えっと、同じクラスだよね? 私、1年3組の
急に自己紹介され戸惑ったがこちらも自己紹介した方がいいと思い、名前を名乗る。
「北原か。オレは、大山一樹だ。で、彼女が……」
オレは、この流れで近藤が自己紹介がすると思っていたが彼女は、興味なさそうに窓から外を見ていた。
「おい、近藤……同じクラスの人に名前を教えるぐらいしろよ」
「イヤよ」
「じゃあ、オレが変わりに……」
変わりに自己紹介してやると言いかけたその時、近藤は、オレを睨んできた。
「えっーと……大山君……私、嫌われちゃってるのかな?」
北原は、泣き出しそうな顔でこちらを見てきた。なんだこの状況は……。
「北原、この意地っ張りな彼女の名前は、近藤彩沙だ」
「ちょっと、大山君!?」
近藤がオレの腕をつねるが無視する。
「彩沙ちゃん!よろしくねっ」
北原は、ニコニコしながら近藤に言う。
「よろしく? 私は───」
「ちょっと待て、近藤。まさか、またオレのときと同じような発言しないよな?」
一ミリも興味がない……。おそらく彼女は、さっきそう言おうとしていた。
「そう言えば……なんで北原は、オレ達に声をかけたんだ?」
「私、まだチーム組んでなくて探していたところなんだ。で、偶然2人を見かけて……一緒にチーム組みたくて声をかけたの」
オレは、北原の話を聞き、隣にいる近藤をチラッと見たが近藤は、物凄く嫌そうな顔していた。
「オレは、別に構わない。だが近藤が………」
「えぇ、嫌よ」
わかりきっていた答えだな。さて、どうしたもんか。
「せめて嫌な理由を教えてほしいな」
イヤと言われても笑顔の北原は、近藤に尋ねた。
「そうね……理由は、あなたみたいな人、私にとって1番苦手なタイプだからよ」
「苦手……。じゃあ、彩沙ちゃん、今度の中間テストで私が50位以内に入ったら私をチームに入れてくれないかな? 順位が高い生徒がチームにいることは、悪くないでしょ?」
50位以内……。確か、北原は、89位だったな。
簡単にできるようなことではないが、北原はそれを知って、この条件を出したんだろう。
「50位以内……それならいいわ。あなたが50位以内に入ったらあなたをチームの一員として認める」
実力のある生徒であるなら近藤も認めるのか。
「ありがとう。私、頑張るよ。じゃあね、彩沙
ちゃん、大山君」
北原は、手を振り、この場を立ち去った。
「下の名前で呼んでいいと許可していないのに」
近藤は、とても嫌そうな顔をし、深いため息をつくのだった。
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