第5話 組長の復帰
若いものは事務所の掃除をしていた、今日は組長の復帰の日で組長がいないことで事務所は荒れ放題だった、組長が復帰してきたらぶん殴られるほどの汚さで昨日からお大掃除を始めた。組長が事務所に戻ってきた頃歌舞伎町では酒屋の親父がヤクザによって殺されていた。理由はまだ入ってきていない。組長はすぐに情報を仕入れろと若頭に命令していた。酒屋の親父は山里がヤクザになるきっかけになった人で今でも恩に感じていた。
当時、安岡と山里は喧嘩の毎日だった、その当時酒屋の親父が止めに入っていた、親父は元ヤクザで「喧嘩するならヤクザになれ」と永遠に言われていた、山里が決意したのは親父の一言だった。「ヤクザは人のために喧嘩をする、今やってるのは人の為じゃなくて、自分のためだろ、ただのオナニーだ」と言われ山里は酒屋の親父の紹介で今の組に入った、その親父が殺された。安岡からも電話がきた「俺が動くからお前は動くな」と言われたがそうはいかない、それだとこっちの筋も通らない、ヤクザの道に居たが親父は20年前にヤクザをやめていたのに今になってヤクザに殺された。
安岡から電話が鳴った。酒屋の親父の殺された理由がわかったという、剣持会から回ってきていた覚醒剤をいじっていたという、自分で使いすぎて支払いが間に合わなくなって殺されたという、プッシャーによくある話しだった。山里が酒屋の親父と話したのは一年前だった、山里は気づかなかったがその頃から覚せい剤をいじっていたことになる。「なんで気づかなかったんだ」と一言こぼした。山里くらいになれば覚醒剤を使ってるか使ってないかくらいはわかる、それなのに気づかなかった事に後悔した。
安岡に呼ばれたのは電話から三日後だった、コマ劇の前の広場に呼ばれた。
「山里決着つけようぜ」
「俺もそのつもりだぜ」
酒屋の親父が死んだ、剣持会に非はない、筋を通しただけだ。安岡達はあたるところがなかった。二人で決着をつけるのが筋だと思った。
先に山里がボディーを食らわせ安岡が倒れる、顔面に蹴りをいれ鼻の骨を折り安岡の戦意をなくす、山里のいつものやり方だった。10年前ならここで酒屋の親父から止められていたが止めるのは警察官だった。山里達は警察署に引っ張られ抗争を疑われたが昔から山里たちを知ってる刑事がいたので庇ってくれ、釈放となった。
二人はその後焼肉屋に入り酒をかわした、安岡の手には新しい数珠がついていた。
「今日の喧嘩はただの兄弟喧嘩だ」といってくれた刑事には笑ってしまったが、本当にただの兄弟喧嘩なのだ、二人は血が繋がってないし組も違うが本当の家族だと思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます